~始まりの村~ 12  ゴミ=ゴミ=ゴ

 話名のとこを少し変更させました。


 ――――――――――――――――


 別視点


「……よし、バンカを先に行かせて私はここで待機してるわ」

《あなたは鬼ですか》

「何かあったら助けるし、大丈夫大丈夫。これでも優しくなった方だろ?」

《いや、まぁ、初対面の人相手に口封じで蹴り殺そうとした時と比べたら、随分マシですが……》

「あん時は現実とゲームをごっちゃにしてたからなぁ……。……おっ、なんか来たぞ」

《……バンカは(1人で)ヌシ様の元へと行く。すると、目の前を光線が通り過ぎていった。光線が飛んで来た方を見ると、布を被った怪しげな3人》

「見れば分かるから省略で」

《‥‥‥‥3人は姿を現す。甲殻類(描写省略)———あなた達はユゴスよりのもの、ミ=ゴと遭遇しました。そのおぞましい姿を直視したあなた達はSANチェック0/1D6です》

(よっしゃ、05でクリティカル。クリチケくれ)

《———ッ、……ッ、ら、ラピス・ホワイトは、このシナリオ限定のクリティカルチケットを1枚持っておいてください》

「サンキュー。……あっちも59で成功したっぽいし、そろそろ仕掛けるわ。クリチケ使って忍び歩きを確定成功にしてくれ」

《い…駄目です》

「なら+50の補正くれ。そして、忍び歩きであいつらに見つからないけど不意打ちできそうな場所に進むって感じで」

《了解です、初期値にに+20で30です。頑張って(失敗して)ください》

「またクリティカル、やったぜ」

《———ッ!……ッ!……ッ、誰にも気づかれず、素早く移動できました……!》

「そんじゃ、ミ=ゴに向かってキックとMAマーシャルアーツ、跳躍で」

《MA成功で2D6、跳躍も成功で3D6です。……失敗しろ》

 キック06、MA37、跳躍07 16ダメージ

「ほい全部成功で最大値16ダメ。くたばれゴミゴが―――!!」

《……ミ=ゴCは思いっきり壁まで飛んでいきました》




 バンカ視点……


「てな感じで、私のお陰で不意打ちできたわけだ。感謝しろ」

「人を勝手に囮にすんな、事前に言えや馬鹿!」


 だが、これで人数差は埋まり同じになった。

 そう思っていたのだが、壁材の破片が土煙のように舞う中で吹っ飛ばされた新種はよろけながらも、立ち上がろうとしていた。


「———ッ、あの威力の蹴りをくらってまだ生きてるのか!」

「……こいつら、バイオ装甲持ち確定だな。現実だとここまで厄介なんてな」

「おい、バイオ装甲って何だ」

「打撃、炎、電気などに+8の装甲を付与するヤツ。つまり、それを上回るダメージを与えないと傷を付けられない」


 なんだそのぶっ壊れ性能な魔道具は。

 ……待て、俺は炎も雷も使わないし、剣だから打撃ではないのか?


「ラピス、剣は通じるか」

「———!斬撃なら問題ない、と思う。それより来るぞ!」


《それでは、ミ=ゴ×3との戦闘を開始します》


 最初に動いたのはラピスだった。


「恐ろしいのは見た目だけ、現実でも余裕で倒せる」


 ラピスは自分に言い聞かせるようにそう呟き、両手で握りしめた鈍い銀光を放つ鉄の棒を思いっきり振り上げ………スポン、と手からすり抜ける。


「———は?」

「あ」

「「「@」」」


 そのまま空中をくるくると回り……ラピスの脳天に着撃する。


「げぺぇっ!?」


 すっぽ抜けた鉄の棒が頭を殴打し、カエルが潰れた時に上げそうな声を上げるラピス。

 その場の全員が呆気にとられる中、頭を抑えて微動だにしなくなったラピスが涙目で呟く。


「……恥ずいから帰っていいか」

「やめてくれ」


 その場合、俺が人数不利でボコられて死ぬ。


「……*;¥@/!」


 すると、膠着から立ち直った1体の新種(さっきラピスに蹴り飛ばされた奴だな)が、聞きなれぬ言語でこちらを嘲笑いながら杖と思しき筒を向けて、先程のような光を放とうとし………手元が爆発した。

 その衝撃がトドメとなったのか、ただでさえフラフラだったその新種はバタリと倒れ、動かなくなった。

 つまり、何かよく分からんが自滅した。


「・・・」

「「・・・」」


 ……どうすんだよこの空気。

 相手側も、自滅した味方に「何やってんだこいつ…?」って視線を向けているし、いたたまれない空気になっている。

 ラピスも動かなくなってるし、どうすればいいんだ?

 互いにそんないらん躊躇をしてできた、奇妙な膠着状態は数秒続き、この空気に耐えられなくなったのか新種の1体が爆発した物と同じ筒の杖で攻撃してきた。

 放たれた光の線が向かう先は………ラピスか!

 弾速が早くて庇えない……ッ!


「マズイ、避けろラピス!」


 俺の声が届いたが手遅れで、ラピスの胴体に直撃してしまう。

 しかし、皮鎧の表面を少しだけ焦がしただけで本人にダメージは無さそうだった。

 もしかして、見てくれだけで威力はそこまで高くないのか?

 何はともあれ、ありがとう村長、この皮鎧をくれて助かった!


 そんな喜びもつかの間、もう1体も同じ魔法で攻撃してきた。

 だが、何度も見ていれば魔法が飛んで来る軌道を読める。

 自分に伸びて来た光の線を、すんでのとこで回避する。軌道を読めば確かに回避できるが、やはり弾速が早いな。


「次は俺の番だ」


 剣を振り上げ斬りかかる。

 しかし、俺の剣は敵に当らず空を切ってしまった。


「何やってんだ、ノーコン」

「のーこん?……まぁいい、それよりも何やってんだよお前。さっさと復帰しろ」

「分かってるよ、ターンとGMの都合で動けなかっただけだ。今は問題なく動ける」

「本当に頼むぞ?お前の自慢の怪力でねじ伏せてくれ」

「……いや、バイオ装甲のせいで打撃は難しいから、お前が主軸で頑張れ。てか来るぞ」

「———ッ!」


 新種の1体が突撃してきた。

 魔法系のモンスターじゃないのか、と思った瞬間、俺に向かってハサミを振り下ろしてくる。

 避けようとしたが動き出しが遅れてしまい、モロに胴体を引き裂かれてしまう。

 ……今ので皮鎧が犠牲になったが、そのお陰で軽い傷で済んだ。

 こいつ、接近戦もできるのかよ……!


 もう1体は後ろの方で魔法を放ってくる。

 しかし、理由は分からないが手元がぶれたようで、見当違いの方向に飛んでいき、何かの機材を破壊したようだ。

 外れてくれて助かった。


「おいおーい、ビビッて手元がブルったか?私はお馴染みの顔見れて調子取り戻してきたところだぜ」


 何やら焦った様子を見せる新種に、その隙を突くようにラピスが接近。鉄の棒での殴打が炸裂する。

 とてもさっき武器をすっぽ抜けた奴と同一人物だとは思えない!

 ……すると、緑色の菌糸のような物体が浮き出した後、限界を迎えたのか破裂した

 もしや、アレがバイオ装甲という代物か!


「へぇ……、実物のバイオ装甲ってそんな感じなんだな」


 ラピスが殴った新種から距離を取る。

 自分の防具を剥がされた新種は動揺しているな。

 ……俺も、負けてられないな!


「フッ———」

「!!」


 切られた反撃だという気概を込めた俺の剣が、新種の身体の節を斬りつける。

 ダメージはそんなに無いが、バイオ装甲の効果は発動していない。

 ラピスの言う通り、斬撃はこいつらに有効なようだ。


「次こそ仕留めるぞ」

「———!」


 今度はラピスと相対していた新種が先に動く。

 魔法を放つ先はラピスではなく…俺だった


「ぐっ———」


 まさかこの場面で自分に攻撃してきたラピスを狙うのではなく、相方と睨み合う俺を狙うとはな。

 だが、流石にラピスに敵意を向けている状態で直撃させるのは難しかったらしく、光の線は俺の腕に掠めただけだった。

 痛みはある……が、この程度なら問題なく戦いを続けられる。

 それに、俺の相方の対処を怠ったツケは存外に重いぞ?


「実験、成功ッ!」

「———ッ」


 ラピスが何やらよく分からんことを言いながら、ガラスの筒を固定する台を足場にして蹴り上げ、新種へと勢いをつけて肉薄する。

 そして、奇怪な頭部目掛けて渾身の殴打を放った。


 頭部を思いっ切り殴打された新種は、今の一撃には流石に耐えきれず気絶する。

 これで残すは、俺が相対するこの1体だけだ。

 剣で斬りつける。


「……!」


 しかし、すんでのとこで回避される。

 未だに有効打を与えられてないのは厳しいな。

 そうこうしてるうちに、ラピスが先程と同様に別のガラス筒の台で跳躍フルスイングを。俺の相手する新種目掛けて仕掛けた。

 緑の菌糸が飛び散る。

 バイオ装甲が剥がれた、ここで追い打ちをかける……!


 しかし、相手の出の方が早かった。

 今の殴られた衝撃を利用して素早く俺達から距離を取り、筒の杖を取り出して俺達に向ける。


 そして………ボカンと爆発した。


「「———は?」」


 ………爆発の煙が晴れた後、若干焦げた新種が姿を現し………パタリと倒れる。


「「・・・」」


 ……しばらく待っても微動だにしない。

 確認のために俺達は、倒れているそいつに近づき手に持つ得物で突いてみる。

 ………反応が無い、ただの屍のようだ。


「………また自滅かよ」


 ―――――――――――――――

 戦闘フェーズ

 行動順:

《ラピス・ホワイトとミ=ゴのDEXが同じなので、行動順はダイス1D100で決めます》

《ラピス・ホワイトが02、ミ=ゴAが100、ミ=ゴBが45、ミ=ゴCが17だったため、ラピス・ホワイト→ミ=ゴC→ミ=ゴB→ミ=ゴA→バンカの順で行います》

《無駄クリです、クリチケは渡しません。では、戦闘を始めます》

 ラウンド1

 白(鉄パイプ100ファンブルMA37成功 4ダメージ → 白)14→10

《ぶふッ…、ラピス・ホワイトは鉄パイプを振り上げると、手からすり抜けて空中を舞い、頭に落下して直撃する。MAが成功しているため、自分に2D3のダメージ。ついでにこのターンは痛みに悶絶しているので回避は触れません、異論は認めない》

 ミ=ゴC(電気銃99ファンブル 3ダメージ → ミ=ゴC)4→1

《・・・。ええっと……ミ=ゴCは電気銃を撃とうとした瞬間、電気銃が爆発して1D3ダメージ。自動気絶ですお疲れさまでした》

《「他の個体も爆発に巻き込まれたんじゃないか?」という意見については、手元の銃の爆発は小規模な物だったので、びっくりすることはあれど巻き込まれはしません。次に行きます》

 ミ=ゴB(電気銃36成功 1ダメージ → 白)

《ラピス・ホワイトに電気銃が放たれる。痛みに悶絶するラピス・ホワイトだったが、皮鎧の部分に当たりダメージを負うことは無かった。……自傷ダメージは装甲による計算を受け付けません、ミ=ゴが別ですが。次行きます、次》

 ミ=ゴC(電気銃25成功 8ダメージ → バンカ)

 バンカ(回避20)

《ミ=ゴBの電気銃がバンカに襲い掛かる。しかし、バンカはすんでのところで回避した》

 バンカ(刀剣91失敗)

《バンカの剣による斬りつけが空を切る。次のラウンドへ移行します》

 ラウンド2

 行動順:《ラピス・ホワイト76、ミ=ゴA37、ミ=ゴB05で、ミ=ゴB→ミ=ゴA→ラピス・ホワイト→バンカの順となります》

 ミ=ゴA(ハサミ14成功 5ダメージ → バンカ)

 バンカ(回避88失敗)10→7

《ミ=ゴAのハサミがバンカの胴体を挟む。今の一撃で皮鎧は裂け、防具としては使い物にならなくなった》

 ミ=ゴB(電気銃78失敗)

《ミ=ゴBは電気銃を放つが、見当違いの方向へ飛んでいった》

 白(鉄パイプ36成功MA47成功 8ダメージ → ミ=ゴB)

《ラピスはミ=ゴBを鉄パイプで殴打する。ミ=ゴBのバイオ装甲でダメージは軽減されてしまうが、バイオ装甲は今の一撃で破壊された》

 バンカ(刀剣44成功 ダメージ3 → ミ=ゴA)

 ミ=ゴA(回避73失敗)12→9

《バンカの斬撃はミ=ゴAを斬りつける。次のラウンドへ移行します》

 ラウンド3

 行動順:《ラピス・ホワイトは34、ミ=ゴAは81、ミ=ゴBは03なので、ミ=ゴB→ラピス・ホワイト→ミ=ゴA→バンカの順となります》

 ミ=ゴB(電気銃68成功 ダメージ1 → バンカ)

 バンカ(回避62失敗)7→6

《ミ=ゴBの電気銃がバンカの腕に掠める》

 白(鉄パイプ55成功MA18成功跳躍07成功 11ダメージ → ミ=ゴB)

 ミ=ゴB(回避75失敗)12→1

《ラピス・ホワイトはミ=ゴBへと地面から跳ぶよう肉薄し、東部に目掛けて渾身の殴打を放つ。ミ=ゴBは自動気絶です》

 ミ=ゴA(ハサミ82失敗 → バンカ)

《ミ=ゴAのハサミが空をきる。次のラウンドへ移行します》

 ラウンド4

 行動順:《ラピス・ホワイトは03、ミ=ゴAが28で、ラピス・ホワイト→ミ=ゴA→バンカの順となります》

 白(鉄パイプ40成功MA15成功跳躍32成功 8ダメージ → ミ=ゴA)

 ミ=ゴA(回避53失敗)

《ラピス・ホワイトの殴打はバイオ装甲で防がれたが、バイオ装甲は今の衝撃で壊れた》

 ミ=ゴA(電気銃100ファンブル)9→6

 ミ=ゴA(CON×5 70失敗)

《ぅそでしょ…………。……ミ=ゴAは電気銃の引き金を引く。その瞬間、電気銃が爆発して1D3ダメージ。CONロール失敗により気絶しました》

《……………戦闘、終了です》



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