第20話 二人とも笑いながら勃っていた

 嬲る。いじめや嫌がらせをして面白がる事。とりわけ強者が弱者を攻撃して楽しむ場合に使われる。

 よくもこのような文字を作ったものだ。昔の中国人が作ったのか日本人が作ったのか知らないが、男二人が女一人を挟んで「なぶる」と読ませる。女性にとってはこのような文字が存在してはならないと思うが、実際に小説やドキュメンタリー等で使われ、文字入力ソフトでも普通に変換候補に上がってくる一般的な文字だ。それだけ昔から世の中で行われてきた事なのかもしれない。

 男性が複数で一人の女性を襲い、いたぶり、辱めるこの文字は、男性の本性を端的に表しているとも言える。男性は大抵「好きだよ」、「可愛いね」等と口にしながら女性を抱くが、体目当てで口先だけの場合も多い。だから複数の男性で同時に女性をいたぶる事が出来るし、順番に連続して女性を辱める事もできる。知人同士あるいは全く知らない男同士でも勃起したチンポを競うように女性へ押し付けてくるのだ。この男女が逆になる事はあり得ないのだから、男性が女性よりも動物的でモラルが低くく、男性よりも女性の方が優れていると言って良いだろう。


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 今度は編集長と交代でシャワーを浴びて、私が浴室を出ると先にあがった編集長と専務が二人で寝室区画のベッドに腰かけて談笑している。二人共バスローブ姿で専務は元々自分用のを身に着けたままだろうが、私が着ていたバスローブは編集長に取り上げられたようだ。裸にバスタオルを巻いてリビング区画にある鞄にしまってある下着を取りに行くため寝室区画を通り過ぎようとすると編集長に後ろから抱きつかれて捕まえられた。

 「どこに行くんだよカオルちゃん。」

 「リビングに行って下着を着けようと思って。」

 「まだダメだよ。パンティが汚れちゃうよ。」

 「なんで?どうしてですか。」

 「俺にもバイブでイクところを見せてよカオルちゃ~ん。潮を噴いたこともあるんだって?」編集長は私を抱きしめたまま後退りしてベッドの方へ引き戻していく。

 「イヤ……、イヤです。…専務、助けて。」

 「ははは、乱暴はいかんよ毬村くん。」専務はベッドに腰かけたまま笑っているだけで、その間、編集長は私を後ろから羽交い絞めにしてベッドに引き上げた。私の方が背が高いし、本気で逃げれば編集長の手を振りほどくくらいは出来たかもしれないが逃げ場なんて無い。無駄な抵抗だと思い諦めた。

 「営業ってのは相手を喜ばせないとダメだって教えてやっただろ。俺にも楽しませろよ。」編集長は股を開いて後ろから抱いたままベッドの中央で座り、私も上半身を起こして編集長の足の間に座る格好になった。編集長は私が巻いていたバスタオルを鬱陶しそうに外し、両胸を揉み始める。

 「専務にたくさん揉んでもらったのか?それともイキまくって女性ホルモンで大きくなったのか?え~?」

 「分かりません。」専務はリビング区画のライティングデスクに立てて乾かしていたバイブに新しいコンドームを被せて寝室区画に戻り、バスローブを脱いでベッドに上がって来た。私の足の間に座ると振動のスイッチを入れたバイブを無言で真顔のまま、私の反応を見逃さないように私の目を真っ直ぐ見ながらゆっくり差し込んできた。

 「俺も脱ごうっと。」後ろから編集長の声がしてモゾモゾ動き、バスローブを脱いだのだろう背中に柔らかい肌の感触がした。

 「どうしたんだいカオルちゃん。もう乳首が硬くなってるぞ。」編集長は嬉しそうに私の乳首を摘み、抓るように捩じってくる。

 「痛いです。」と制止したが、正直に言うと“イタ気持ち良い”。感覚がモヤがかかったように鈍くて上手く表現できないが、痛いのは痛いけど強い痛みではなく、ムズムズ疼く所を弱い静電気をピリピリと当てられているような感覚だ。もう少し続けてくれても良かったが編集長は乳首を摘まむのを止めてくれた。

 「興奮してきたんだろ。乳首が硬いだけじゃなく、汗ばんでいい匂いもしてきたぞ。」編集長は私の右肩側から私の首筋を上下に舐め、それでは飽き足らずうなじや肩甲骨の間、耳や頬など舌が届く限り舐めまわし始めた。この頃には専務が入れたバイブの振動も強になっていた。いつもなら股間のバイブの感触だけに集中できるが、今は編集長に上半身も弄ばれ、どちらも気持ち良いのだが意識が散漫になる。

 「毬村くん、一回カオルを放してあげなさい。私も興奮して久しぶりに入れたくなってきた。…カオル、このままではヤリにくいから仰向けに寝なさい。」毬村編集長が私の背面から離れて立ち上がり、賄腹専務も私からバイブを抜いて立ち上がりコンドームを取りに行った。私はゆっくりと体を寝かせて目を閉じて息を整えた。疲れと快感で意識混濁となり朦朧としていたからだ。リビング区画で専務にバイブでイカされ、1時間も経たない内に編集長に寝室区画でセックスされ、さらにそのセックス後1時間経たない内にまた犯されている。いくら10代とはいえ体力にも限界がある。

 「ほら、股を開け。」ベッドに戻って来た専務が急かすので上を見上げると、私を前後に挟むように全裸の男性二人が私を見下ろして立っている。二人とも楽しいのだろう。笑いながら勃起していた。

 「カオルちゃんも感じてるから中はトロトロで、いい具合に締まって気持ち良いですよ。」

 「ほお、楽しみだな。」専務はいつも以上に興奮しているのか、私の手によるサポートが無くても十分に硬くなっていて、普通に挿入して行為を始めた。バイブの方が刺激が強くて気持ち良いが、イった後で体が敏感になっているので本物もそれなりに良い。続けてほしいような、早く終わってほしいような微妙な気持ちだったが、編集長が私の右手側に座り、自分の手でチンポを支えながら私の頬へ擦り付けてくる。

 「何をしているんですか、止めてください。」

 「おいおい、それはないだろ~。俺だけ“お預け”か?俺も気持ち良くしろよ。」

 「嫌です。二人同時にお相手なんて出来ません。」専務に正常位をされながら編集長のチンポから顔を逸らし抵抗する。

 「こっちを向いてしゃぶれよ。前の東竹芸能の子は3Pぐらい平気だったんだから、カオルちゃんだって出来るだろ。」編集長は私の頭を両手で掴み、自分の股間に引き寄せてチンポを押し付けてくる。乱暴に頭を掴むものだから髪がばらけて顔にもかかる。

 「毬村くん、乱暴はいかんよ。カオルも咥えるのは無理にしても、舐めるくらいはしてあげなさい。」もっと先になってからエロ動画で3Pなるプレイを知ったが、あれはプロだから出来るのだ。セックスの方はともかくとして、フェラの方は揺れるとどうしても歯がチンポに当たるので口の中に入れるのは危ないし、セックスに集中できないから気持ち良くもならない。女性にとっては全くメリットが無いプレイだ。

 「分かりました。」編集長は私の頭を放し自分のチンポの根元を持って亀頭を私の唇に当ててきた。私は専務に股間を突かれベッドの上で小刻みにユサユサ揺れる不安定な状態で舌を伸ばして舐めてあげた。編集長は亀頭、竿、玉袋と舐めさせたい所を順に私の顔の前に差し出してきて、私も出来るだけ舌を伸ばして要望に応えた。編集長は舐めさせて気持ち良いのもあるだろうが、それよりも女を屈服させて優越感に浸っている気がする。その証拠に私が嫌そうな顔で舐めるのを見て喜び、最後は自分で竿をしごきながら亀頭を舐めさせることに集中するようになった。

 「くくく、カオルちゃん3Pは初めてだったんだよな。」

 「はい。もう嫌です。止めてください。」

 「ああ、終わらせてやるよ。……専務、お先です。」編集長はこう言うと膝立ちになって自分の右手でスパートをかけ、私の顔めがけて射精した。

 「ウソ、何で?…拭いてよ。拭いてください。」私は咄嗟に目を閉じて顔を反対側へ向けたが、3射ほど連続で飛んだ液体は私の顔や髪の毛にかかり、無くなりかけマヨネーズのような細く途切れた線が2筋、私の顔にできた。編集長は顔射の後、私の頬に亀頭を擦り付けて精液を軽く拭き取り、最後は自分でチンポ周りを念入りにティッシュペーパーで拭いて、バスローブだけ持って一人で浴室へ向かった。専務は「ははは」と笑いながらピストンを続けている。今回はまだ中折れはしていないようだ。

 「専務、一旦止めてください。顔を拭きたいです。臭いし目や口に入って来そうで怖いです。」実際、透明で粘度が無い部分の液体は口の中に入ってきていて、にがい。

 「今いいところで、私もイきそうだから我慢しなさい。」

 「早くしてください。お願いします。」結局、遅漏専務はこの後たっぷり5分程かけてやっと射精して腰の動きを止めた。中折れして仕切り直しにならかっただけマシとは言え、途中諦めて自分の手指で口や目の周りの精液を拭って入ってくるのを防いだが、ベタベタして中々取れないし拭う際に臭いが一層強くなり、拷問のような時間だった。専務も終わり体を開放してもらえると、私は股間よりもまず顔をティッシュで拭き、髪に飛んだのも拭き取った。髪の方もベタベタして髪の毛同士が絡みつき、拭くのに時間がかかっている間に専務もコンドームを処理して浴室へ向かった。私はティッシュの箱が空になる勢いで身体中を拭き終え、羽毛布団を頭から身体に被り二人が浴室から出てくるのを待った。私も早く洗い流したい。


 「あれ~、カオルちゃん。やっぱりまだベッドだ。専務と浴室で待っていたのに中々来ないから~。」編集長が布団を剥ぎ取る。

 「もうシャワーを使っていいですか?」

 「もちろんだよ。一緒に来ればよかったのに。専務はまだ身体をタオルで拭いているところだから、お礼を言って体を拭くのを手伝うといい。俺はこれで帰るけど、またね。」

 「分かりました。」全裸のまま何も持たずに浴室へ向かう。編集長と実際に会うのは結果的にこれが最後になった。


 専務が浴室でドライヤーをかけている後ろをとおり過ぎて、やっとシャワーブースへ入ることができた。まずお湯を全身に浴びながら手で洗い流すが、液体がかかった肌はまだヌメヌメして滑り、髪に手櫛を通そうとしても引っ掛かる。非常に不愉快だ。シャンプーとボディソープをふんだんに使って全てを洗い流した。

 私がバスタブに移って一息つこうとすると、ドライヤーやら育毛剤やらを終えた専務が前方の鏡を見たまま少し大き目の声で話しかけてくる。

 「カオル、さっきの良かったよ。すごく興奮した。10歳若返った気分だよ。」

 「私は辛いだけでした。ひどいです。」

 「毬村くんには私から叱っておくよ。でも、複数でするのは中々経験できるものじゃないから、一度やっておいて損はないよ。」

 「あんなのはもう嫌です。」

 「そうか。気に入ってもらえなかったか。ははははは。」

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