第19話 隣にも聞こえちゃう
再会。普段会わない人と久しぶりに再び会うこと。偶然の再会と言えばロマンティックな要素を想起させるが、ほとんどの場合はリセットしたい人間関係の人と会う場合が多く、苦い思いをする。良い人ならば友達や恋愛関係などの形で関係が今も続いているはずだからだ。人は過去を乗り越えて現在を生きているので、過去の自分の関係者と偶然再会したとて対応に苦慮する。相手が気付いていなければそのまま通り過ぎたいくらいだ。
恋愛関係、つまり元カレや元配偶者となれば、再会は一層気まずくなる。一度は愛し合い生活習慣から金銭感覚、どんな下着を身に着けどんなセックスをするかまで全てを知っている男性が予期せず目の前に現れたら心穏やかではないだろう。女性にとっては恐怖ですらある。自分と別れた後、その男性がどうなったかなんて興味は無いが、私と一緒の時よりも再会した時が幸せそうだと途轍もない敗北感を感じる。ついさっきまで名前も忘れていたのに急に視界に入って来て、別の女性と楽しそうに食事をしていたり、子供を隣に座らせて家族で笑いながら電車のBOX席に座っていたりするとその男性を呪いたくなる。私と関係した男性は私よりも幸せになってはならないのだ。
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「私はもうダメかもしれない」と思うような出来事が起こっていく。
慌ただしい年末年始を終えて、いつものように賄腹専務からお声がかかった。指定された「インターソイルホテル東京」に行くと専務がロビーで出迎えてくれて一緒に客室へ上がった。何となく見覚えがあるホテルだと思っていたが、部屋に入って初めて賄腹専務と顔合わせしたホテルである事を思い出した。ソファーがあるリビングの区画とベッドがある寝室区画が壁と扉で区切られて2部屋ある客室だ。部屋番号までは覚えていないので、全く同じ部屋か同じ間取りの部屋なのかは分からない。ただ良い部屋というか高い部屋のはずだ。
専務は興味が無いくせに「年末年始はどう過ごしていたの?」と場つなぎの話題を振りながら服を脱いで全裸になった。私も適当に話を合わせながら荷物を置き、私も服を脱いでいく。二人とも裸になってからから営業と言うのかプレイと言うのかよく分からないが専務が私の身体をイカせて楽しむ。
ベッドの部屋に移るのかと思えばリビングの区画で専務がバイブを鞄から取り出す。お恥ずかしい話、私は専務が手に持つバイブを見るだけで“じんわり”濡れて、スイッチを入れてビィィィィィと動作確認をしている音を聞くだけで股間がムズムズするようになった。条件反射のようなものだが、私が淫乱とか好き者なのではなく、それだけ私が何度も遊ばれているということだ。
専務が全裸の私の後ろに回り込み後ろから抱きついてくる。コンドームを被せたバイブを右手に持ったまま左手がお腹から下へ降りていき、太ももの間に割り込んできたので私も自ら肩幅に足を開いた。
「なんだ、もう濡れてるじゃないか。」私の方が背が高いので私の背中から専務の声がする。
「申し訳ありません。」
「いいんだよ。じゃあ、ソファーに手をついてこちらにお尻を向けてごらん。」言われた通りにソファーの背もたれの部分に手を着いて、前屈みをするようにお尻を突き出すと専務がゆっくりバイブを入れてくる感覚がした。全部入ってから専務は振動のスイッチを入れ、体内でくぐもった振動音がし始める。私に入れられたバイブが弱から強へと徐々に振動が強くなるにつれ私の気持ちも高ぶっていく。最も強くなった頃には呼吸は荒くなり、ソファーの背もたれを握力の限り掴んだまま俯いたり、背を反ったりしながら恥ずかしい言葉を口にしていた。私の反応や言葉を確認した専務は、止めを刺すべくスイングのスイッチも入れてから激しくバイブの出し入れを始めた。バイブがうねり体内をかき回すのだが、出し入れもされているので膣内の奥も手前も“やわかたい”先端が蹂躙して回り、手前の方ではバイブの振動も感じる。色々な強い刺激を加えられ感覚が追い付かないが、気持ち良いのだけは間違いない。「ヴ~~~」と唸るような濁った声や、「ダメェェェ~~~」と語尾が裏返った声を出しながら、つま先立ちになったり、O脚気味に足を広げて腰を小さく上下に振りながらバイブによる快感に溺れ、最後は猫が欠伸をするように手も足もピーンと真っ直ぐ伸ばし、首と背をめいいっぱい反らしながら痙攣してイった。
私が腰や膝をカクカクさせながら脱力していくのを見て、専務はバイブを握っていた手を離し、私がソファーに手を着いたまましゃがみ込む途中でバイブがゴトッと床に落ちた。まだスイッチが入ったままだったから床の上で音を立ててのたうち回っている。専務は満足そうにバイブを手に取ってスイッチを切り、私を脇から抱えるようにして身体を起こしてくれて、一緒に浴室へ入った。
専務はササッと先に自身とバイブを洗い終わり、私はゆっくり身体を洗い流して浴室を出た。まだ気怠い感覚が残るままバスローブを纏ってベッドがある部屋に入ると何故か部屋に毬村編集長もいてバスローブ姿の賄腹専務と楽しそうにお話ししている。編集長は仕事終わりなのかスーツ姿だが、暖房がよくきいているので上着は既にハンガーにかかっていた。
「オッス、カオルちゃん。頑張っているね~。」部屋に戻った私に気づいた編集長が軽く手を上げて声をかけてくる。
「編集長がどうしてここに。」
「私が呼んだんだよ。彼から電話がかかってきて、打合せ終わりで近くにいると言うからさ。私が「カオルと一緒だ」って教えてあげると「久しぶりに会いたい」と言うんだ。」
「ますます綺麗になったね~。「冬バーゲン特集」や「バレンタイン特集」を撮ったディレクターやスタッフが「色気がたまらない」とか「いい表情をするようになった」ってカオルちゃんの事を褒めちぎっていたよ。…胸も大きくなったんだって?」
「まあ…、少しだけ。」確かにカップサイズがEからFになっていると衣装さんに言われた。
「ははは、狙いどおりじゃないかカオル。」専務は嬉しそうに笑っていた。
「専務、その……、いいですか?」編集長が急にモジモジしながら窺う様な視線を専務へ送ると、専務はフッと笑ってリビングの区画へ行き中扉を閉めた。私はすぐには意味が分からなかったが、編集長がズボンとパンツを一緒に下ろし、ワイシャツとTシャツをまとめて脱いだのを見て意味を察した。案の定、ポケットから出したコンドームを着けて私を抱いた。
「体温が高いな~、興奮しているんだろ。」たるんだ小太りの体で上から覆いかぶさってきた編集長が笑いながら胸を揉みしだく。
「バイブでイったばっかりで、まだ身体に力が入りません。」
「ふーん、やけに素直だな。しっかり専務に躾をされているじゃないか。」
「恥ずかしいです。」
「バイブは気持ちいいみたいだな、すごく濡れてるぞ。俺との時はこんなになった事が無かったのに。」
「申し訳ありません。」
「もう仕上がっているみたいだから入れるぞ。くくく…。」
「止めてとお願いしても聞いてもらえませんよね。」
「聞かねぇな~。……おお、中もいい具合にトロトロじゃないか。」編集長は私の細やかな抵抗を無視して、ろくな愛撫をしないまま正常位で挿入し、ピストン運動を始めた。
「大きな声で言わないでください。隣にも聞こえちゃう。」
「本物の男とバイブとどちらが気持ち良い。」
「イヤッ。」
「イヤじゃねぇだろ。答えろ。」編集長は自分のチンポを誇示するようにピストンを激しくする。
「どちらも…、両方とも気持ち良いです。」バイブの方が圧倒的に気持ち良いが、そんな事を言えば何をされるか分からないのでこう答えた。
「くくく。綺麗な顔をして恥ずかしい事を口にするようになったな~。スタッフや読者が聞いたら大喜びするぞ。」
「やめてください。…誰にも言わないで。」
「はあ~、相変わらずいい体してるな~。久しぶりにカオルちゃんを抱けて俺も嬉しいよ。」確かに専務へ営業するようになってから編集長に会うことは無くなり、抱かれるのは3ヶ月ぶりくらいだ。S気質の編集長は、出っ張った腹が私のお腹に当たるくらい前屈みになり、重力で垂れた胸をユラユラ揺らしながら臭い息を吐いている。最後は私の左右の肩にそれぞれ手を掛けて押さえつけ、チンポを腰ごと押し込むかのように力強くピストンして私の中で射精した。
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