第13話:十二支との格闘 第十の敵・真名を顕した未

未:協洽・汁洽(hjiep かtsyip khep / *[ɢ]ˤepか[t.k][ə]p [g]ˤep / *ʒepか[kip] grup)。


まず「協」と「汁」について考える。


「摰」と「摂」のように意味の類似はない。


「困」と「囷」のように形の類似もない(どちらも「十」を音符に含むとはいえ)。


とすると、韻が近いことから 同じ音の音写 と考えるのが自然だ。


ではどんな音か。「汁」のほうは少なくとも清音なので ʃip か t͡ʃip に近い音と推定される。ここで思い出すのは 鳩摩羅什(Kumārajīva) の「什(dzyip)」が -īva を写している例だ。

となると「汁」は ʃiva あるいは t͡ʃiva に近い音、すなわち Śiva そのもの を写した可能性が高い。

いっぽう「協*ʒep」だが『上古音略』では*ʒēpのような長音を想定しているようだ。

するとJīva(生命)もありえることになってしまう。どっちが正しいのだろう。


続いて「洽」。これは「広く、あまねく」という意味を持ち、神の名に添えるにはふさわしい字である。また「生命ジーヴァあまねしきもの」という解釈もできてしまう。とすると「汁」「協」どっちももともと存在していたのでは?

実は「協」の古い字は「叶」である。もし「汁叶洽」と並んでいたら、「汁」と「叶」のどちらかはうっかりして書いた字と判断するだろう。

なお「洽」については「協/汁」と韻が近い漢字であり、あえてこの字を選んだのだろう。


ここで想起されるのが、viśva(世界、あまねく)。

すでに亥年のViśvanātha(世界の主)でもでてきたが、「あまねく」と解釈するとŚivaと近い音なので、Śivaにあてた「汁」、Jīvaにあてた「協」と韻が近い「洽」にviśvaの意味を託したのかもしれない。


結論。

未:協洽・汁洽 = 汁協洽=Śiva + Jīva+洽(あまねく)

もしかすると、=Śiva, Jīva, Viśvaの音訳と意訳?


十頭目、討伐完了

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