第8話 「物資調達・後編」
道中は昨日の間に黒白がある程度片付けていた事もあり、なんの問題も無く進んで行くことが出来た、海藤たちは黒白が言っていたマンションを見て見ると、そこに人の気配は無いのだが、どこか不気味な雰囲気が
そんな中黒白は、海藤達の事を気にする素振りも無く、前日に倒して行った棚を再び直し、異常がない事を確認した、そして中の様子を確認した後に、身の回りの安全を確保し、海藤たちに声を掛けた
「海藤さん、全員で入ると何かあった時に対処が遅れてしまうから、二人残して中に入ろうと思うけど……」
中に入る人数を海藤に聞こうとすると、黒白の言葉を全て聞く前に
「今、変な音がしませんでした?」
渡井がそう言った後に黒白は口元に人差し指を置き、皆に静かにするようにジェスチャーをして、海藤と黒白の二人は周囲を確認して見たが、カラスの群れはあるがヤツらの姿があるわけでもなく、周囲は静まり返っていた、念の為に背後や店内のトイレや入り口前のスペースを確認して見たが特に異常は見受けられなかった
「すみません、何か音が鳴った気がしまして」
渡井は申し訳なさそうに謝り。
「大丈夫、この状態だと、どんなに警戒しても損は無いから、それで中に入る人員は?」
海藤は周囲を警戒しつつ、黒白の質問に対して少し考えたのち。
「黒白、国枝さん、そして俺の三人で中に入ろう、そして渡井と井出さんの二人はここを見張っていて欲しい」
そう決めたのだった、理由としては、黒白は何度かここにきている事もあり、少なからず内部の状態を理解しているから、そして国枝と自身を選んだのは先ほども組んで動いていた事で少し動きやすく感じたというのもあった、外の二人も先ほど組んでいた流れでそのまま組んで動いてもらう事のしたのだった。
店内に入ると中は相変わらずの荒れ具合でヤツらの姿は確認出来ていない、呻き声は店内に響いており、どこから襲ってくるか分からない事もあり、三人は緊張状態が続いていた、そんな中で黒白は、慣れた様子で棚から棚へ音を立てない様に隠れながら移動していき、安全を確認してから、後ろの二人に合図を出し移動した、海藤も同じ様に安全を確認してからサインを出し、それを見ながら国枝も静かに移動して行った
三人はどうにかヤツらと
1分程すると揺れは落ち着いたのだが、地震によって物が倒れた音に反応し、動きを見せていなかったヤツらが外に向かって歩き出した
「やばいな」
その光景を外から見ていた渡井はそう呟き中にいる黒白達に声を掛けようと思ったが、ヤツらは黒白達の傍にも差し迫っていた、しかし大半のヤツらは黒白達の事を気に留めずに外に出ようと歩いて行くが、窓ガラスや棚に
「どう逃げれば……」
黒白は誰にもこの声が届かない様に小声で呟き逃げる方法を探してはいたが、この場から立ち去らない限り自分たちにはどうしようも無い為、一体のヤツらが通り過ぎてから、立ち上がった瞬間
先ほど通り過ぎたヤツらが一瞬の
しかし首が落ちた時のわずかに鈍い音も、近くに居たヤツらには聞こえてしまい、黒白達の方を振り向こうとしたが、一つのバッグを持った黒白は、以前同様に拾って来たスマホのアラームを数秒後に設定し、放り投げてから走り出した、海藤と国枝の二人は残されたバッグを互いに背負い、黒白が走り出したのを確認すると、急いで後に続いた。
三人が走り出してから10秒も経たない内にアラームは鳴りだし、その大きな音に引き寄せられ、黒白達に迫っていたヤツらがいなくなり始めた、その隙に急いで出て行こうとした
「これを持って先に行って!」
自分のバッグを投げ渡し、国枝の元へ急いで向かった、バッグを受け取った海藤は静かに頷き、入り口まで走って行った
「こんなところで死にたくない」
国枝はそう思いながら必死で噛みつこうとしているヤツら相手に
「国枝さん早く立って!」
黒白にそう言われた国枝はゆっくりと立ち上がり黒白は
「先に行ってください」
声を掛け、国枝はその指示に従い、入り口まで急いだ、黒白はその後ろから襲い掛かって来るヤツらを数体倒し、国枝が外に出たのを確認すると、自身も急いで入り口へと走った
そして最後にはヤツらが出てこられない様に、再び商品棚を倒して出て来た
「二人は無事?」
黒白は息を切らしながら、二人の安否を心配し声を上げると。
「ああ、俺たちは無事だ、お前こそ」
海藤はそう言い最後に出て来た黒白の身を心配していた。
「俺は大丈夫ですよ、これくらいのはすでに何度か経験しているので」
海藤の心配とは裏腹に、黒白は自身の不安な感情を見せようともせずに、返答した、そして国枝は。
「黒白君すまない、危ない目にあわせてしまって」
先程の
「何とか助かって良かった、地震が起きるのは本当に予想外だったし、どうにかして引き寄せはしたものの、完全ではないから、気にせずに、少し息を整えたら直ぐに出発しよう」
黒白はそう言い、気にしていない素振りをしては居たが、この状況を良しとはしていなかった。
日本である以上、地震はいつ起きてもおかしくはない、しかし今の状況下で地震が起きると、ヤツらがどこに移動し始めるのかすらも読めないのだ
「海藤さん、少し嫌な予感がする……急いで、学校に戻ろう」
黒白が続けてそう言うと、海藤は喉元まで出ていた言葉を飲み込み
「分かった、状況が状況だ、急いで戻ろう」
三人に声を掛けると、三人は何も言わずに頷いた、そして黒白達は学校の安全を確かめるべく、学校まで走り出した
黒白はバッグを背負いながらも、海藤たちを引き離して行くスピードで走っており、その途中で海藤たちが追いつく前に先ほどの工務店からバッグを一つ運び出し、外に出ると丁度良く追いついて来た為、その様子を見ていた黒白は再び走りだした
道中は何とかヤツらと遭遇することは無かったが、黒白はそれよりも、先ほどの地震がきっかけでヤツらが学校まで迫って来る事も
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