第二十六話 新チーム始動
三年生引退式
準々決勝から数日後、校舎の小さな講堂で野球部の引退式が行われた。
「蒼志館、夏のベスト8。胸を張っていい」
顧問の言葉に、三年生たちはそれぞれに涙をこらえ、笑みを浮かべていた。
高城は最後に一歩前に出て、後輩たちへ頭を下げた。
「悔いは残った。でも、後半を任せられる仲間がいたことが誇りだった。……如月、お前が次を引っ張れ」
その言葉に、胸が熱くなる。
(俺が……引っ張る? まだ未熟な俺が?)
新キャプテンの誕生
その日の練習後、藤堂監督が全員を集めた。
「新キャプテンは篠原だ」
グラウンドに一瞬沈黙が走り、すぐに拍手が湧いた。
篠原は短く息を吸い込み、力強く答えた。
「俺たちの代で、必ずもう一歩上に行く。……甲子園を見に行くんじゃない、出場するんだ」
部員たちは声を揃えて応じた。
「おおおおおっ!」
各選手の課題
練習後の輪で、篠原は一人ずつに問いかけた。
「自分に足りないものを言え。ここからは、それを鍛える時間だ」
小坂は「もっと出塁率を上げたい。バントと足を磨く」と答えた。
佐伯は「あと一本が出なかった。パワーを伸ばすだけじゃなく、勝負強さを身につける」と言った。
山根は「俺のリードもまだ甘い。もっと強豪の捕手から学ぶ」と目を伏せた。
そして視線が俺に向けられる。
「如月、お前は?」
俺は握った拳を見つめ、はっきり言った。
「……もっと速い球を投げたい。あの鷺沼に打たれない球を」
沈黙のあと、仲間たちの表情が引き締まった。
篠原は頷き、短く答えた。
「よし。それぞれ課題は出たな。これを秋までに形にする」
夜の独白
寮の自室で、ボールを手に取る。
(球持ちを掴んだ。でも、それだけじゃ足りない。スピードがなければ全国では通用しない)
窓の外、夏が去ろうとする夜風が吹いていた。
(160キロなんて夢物語かもしれない。でも、そこを目指す。俺は——)
指先に力を込め、静かに誓った。
現在の能力表(如月 隼人)
球速:137km/h
コントロール:B+
スタミナ:B
変化球:スライダー6/シュート3
特殊能力:奪三振◎/対ピンチ○/低め○/キレ○/打たれ強さ○/逃げ球/クイック○/球持ち○
備考:新キャプテン=篠原/仲間それぞれ課題を掲げる/如月は「球速強化」を明言
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