No.2 第6話の感想

 続きです。


>第6話 いい趣味してるな!


 いい趣味……。

 地雷ワードに見えてくるわけですが。



> ホロコールで連絡を入れたアリソンは、小一時間ほどして上機嫌で鼻歌交じりに音程を外して歌いながらやってきたシャオヘイの様子を見て、機嫌は大丈夫そうだと安堵した。

> 大切な眼鏡の危機がとりあえず去ったと思うと、多少のことは許してやろうとすら思った。


 ご機嫌シャオヘイ。

 脅されなさそうなら強気?に戻りそうなアリソン。凝りてなさそう……。



> アリソンがおしゃかにしたボンネットトラックからパージした荷台をトレーラーごとシャオヘイが乗ってきた牽引トラックと連結し、エンジン始動。力強い轟音と排気を出しながら、トラックは少しずつ速度を上げていく。


 スムーズにトレーラーを回収してますね。

 しれっと書いてますが、こういう作業ってけっこう大変な気がします。

 さすがシャオヘイ!



>「ところでシャオヘイ。今回のクライアントって誰?」

>「ハンドラーのこと? ニキータだよ」

> アリソンは露骨に嫌な顔をすると、ハンドルを握るシャオヘイに見せつけるように盛大な溜息を吐いた。


 依頼主=ハンドラー。

 横文字は整理しておかないと後で混乱しそうです(記憶容量小さくてすみません)。

 嫌そうな顔というかららに、二人ともニキータは苦手なのでしょうか。



> ダークウェブで飛び交う依頼や売買は、すべてハンドラーと呼ばれる仲介人が仕切っていた。

> そもそもダークウェブで依頼するような表立って依頼できないような仕事や武器から不法投棄されたか「誤って」死んでしまった死体から剝ぎ取ったサイバーウェアやインプラントチップの類いに至るまで、疚しいところしかない情報ばかり。

> 本来の発注者が誰なのかを知っているのはハンドラーだけで、アリソンやシャオヘイのような請け仕事の立場では辿りつくことはできない仕組みが構築されている。


 つまり発注者まではわからないけれど、ハンドラーとして仲介して依頼したのはニキータである、と。

 この仲介屋(ハンドラー)のニキータが面倒な奴というわけですね。


 文法:「誤って」死んでしまった死体から~ → 死んだなら死体とわかるので、重複表現になっていると思います。



> それにしても、とアリソンは胸騒ぎを覚えざるを得なかった。八脚型の自律多脚戦車スパイダー・デストロイヤーなど、企業戦争時代に跋扈した戦争が遺した多くの密売武器の中でも飛び抜けて凶悪な代物だ。

> そんな代物をニキータが仲介して寄越したとなれば、話はややこしくならざるを得ない。ジェネラル・ロボティクス社製のハイテク兵器の奪取を仲介したニキータは、本人すら隠すことなどないほど大っぴらにしているため、ロシア系マフィア「モスクワ機関」の代理人を務めていることを知らない者などいない。


 今回奪取したスパイダー・デストロイヤーは物騒な遺産、というわけですね。

 ニキータの発注者が「モスクワ機関」というのが暗黙の了解で、そういったものに巻き込まれそうだと。


 文法:企業戦争時代に跋扈した戦争が遺した~ → これも戦争が重複表現に見えます。



> この国――国という形が残っているのであれば――合衆国の大企業の兵器輸送を襲わせたのだから、警戒すべき依頼だと考える方のが普通だ。


 米露の対立はこの時代もあるというわけですね。



>「道理であんな物騒な物に、5万ぽっちしか払わないわけだ。ボクは納得いかない」

> 心中の懸念をいったん強引にしまい込んだアリソンは、ニキータの提示した報酬額に文句をつけることにした。その話ならシャオヘイは少しは聞く気になるかもしれないと思ったからだ。


 気に入らないのはアリソンだけで、シャオヘイはその話をしたくないのでしょうか。

 それとも愚痴を言いすぎて呆れられているのかも?

 とにかく文句を言いたいアリソン(笑



> アリソンの思惑を余所に、些細なことだとシャオヘイは取り合わない。ところどころ窪んだり穴が空いたりしている道路を右へ左へ巧みにハンドルを回し、こまめにギアを調整して速度を保ち、相変わらず音程を外した下手な歌を歌い続ける。

>「一番支払いがはやい~、い~ら~い~、だ~か~ら~ね~🎵」

> もはや歌なのか会話なのか怪しいそれを聞いて、アリソンはそれ以上の詮索を諦めた。もっともシャオヘイもどこまでそのことを気にしているのか、まったく気にしていないのかわからないわけで、後者かもしれないとも思った。

> これまでのシャオヘイの仕事の請け方は、だいたい「高い」か「早い」かで決めていたのだから、早いと聞けばそれが理由なのかもしれなかった。


 支払いタイミングは日雇いの人には死活問題です。

 アリソンもそんなかつかつの生活をしてるんですかね。服のせいっぽい。

 このやりとりを見ても仲が良さそうだなと思います。



> ガタガタと上下に振動し続けるトラックは、そんな二人と物騒なハイテク兵器を乗せて目的地へと道を進んでいく。配達先は大きな淡水湖に面した都市沿いの港湾エリアが指定されていた。

> 港湾エリアは船舶が湖を渡って届けてくる大型コンテナの積み下ろしと仕分け以外はこれといってめぼしいものがない。


 密輸には絶好の場所っぽいですね。



> かつてウォーターフロントと呼ばれていたそこは、都市の企業支配が始まって真っ先に着手されたセカンドグラウンド計画が始まった。

> メガビルディングの間を埋めるようにして造成された人工の大地が五階ほどの高さを埋め尽くすその計画が実現すると、富裕層はこぞってそこに移住していき急速に寂れていった。


 支配する企業が最初に「思い通りになる場所」を作り上げたわけですね。


 文法:最初の文の主語述語の関係が不明瞭です。

 文法:~急速に寂れていった。 → 何が寂れたのでしょう?



> 文字通りの意味での大地の上に住んでいるのは、企業が有する工場労働や港湾労働、それらの労働者を相手にする貧困層向けの様々なサービス業を営むものだけで、郊外のスラムともなればさらに最下層といった塩梅だった。


 階層がそのまま身分になっていったわけですね。わかりやすい。



> つまるところ、他の企業がジェネラル・ロボティクスに損害を与えるためとも考えられず、貧困層を割拠するように支配しているマフィアともあまり関係があるようには思われない場所、それが港湾エリアの地域柄で、アリソンの心配や懸念はただの思い過ごしという可能性もそれなりにあった。


 ジェネラル・ロボティクスはさっき出てきましたね。

 スパイダー・デストロイヤーを作った企業です。

 遺産っぽいと書いてしまいましたが現存する企業でしたか。


 で。

 この港湾エリアは比較的中立地帯というわけですね。

 この場所だからアリソンの懸念も思い過ごしになるかもと。

 ……こう書かれるとフラグですね。



>「着いたー」

> 呑気に到着を告げたシャオヘイとアリソンはトラックから降りると、荷物の受け手を待った。

> すっかり陽も暮れて静けさと暗闇に沈んだ港湾は、ところどころ誘導灯が灯るだけの寂し気な空気に包まれていた。

>「おーい」

> 巨大な倉庫の中からほどなくしてイエローのオーバーオールを来た男が野太い声を上げ、右手を大きくぶんぶんと左右に振りながらやってきた。

>「お嬢さん方、三つ編みのちっこいのと、そっちは銀髪か。その荷物は俺が受け取ることになってるんだ」


 相手方の受取人です。

 快活な雰囲気ですが……



> そう言いながら近づきながら、アリソンの装いを見るや否やこう呟いた。

>「真っ赤なチャイナドレスに……そりゃ、眼鏡か」

> その一言にアリソンが無意識にすっと機械刀の柄に手を伸ばす。……


 もはや登場する男のセリフさえ様式美ですね。

 アリソンの行動も(笑



> ……シャオヘイが制するように左腕を伸ばすが、その心肺は次の一言で杞憂に終わった。

>「この時代に眼鏡たぁ、いい趣味してるな!」

>「……名前は知らないけど、おじさんいいやつだな。ボクにはわかるよ」


 推しを理解できる奴に悪い奴はいない! と。

 気持ちはわかります。例え勇者と魔王でもわかりあえるはず。

 素敵なタイトル回収です!



> シャオヘイは何がわかるんだと小首を傾げながらも、アリソンが暴発しなかったことを良しとして気にしないと決め、いそいそとオーバーオールの男と報酬の受け渡しを始めた。

> その横でアリソンは刀の柄からそっと手を離し、どこか誇らし気にふふんと鼻を高くして胸を張っていた。


 アリソン、チョロくなってます(笑

 そこがまた可愛い。

 事務作業はシャオヘイに丸投げなんですね。





 以上、第6話でした。

 奪取したものを輸送する道中に 受け取った兵器の性質や世界情勢、街の様相などが出てきましたね。

 だんだんと世界観が明瞭になってきて「どうなる?」と続きが気になり始めました。

 気に入られたはずの男が地雷を踏むのかどうか……(笑




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