No.3 (第3話)の感想
3つ目のお話です。
これも2話構成ですので一緒に読んでいきます。
> 或る転生者の独白(1/2)
転生者。
急にファンタジーになりました。
> ヘェ~。じゃあアンタは“転移”の方か。
> いや、まさか同郷に、それも異世界で会えるなんてな。
聞き手は転移してきた誰か、のようです。
同郷なんですね!
> 俺?
> 俺は“転生”だよ。クリフって赤ん坊に転生したんだ。だからまあ、もうそこそこ生きてるよ。
クリフさん。
大先輩ですね。
> ああ、俺も日本人なんだ。こんなナリだけどさ。アンタは分かりやすいなぁ、すぐにピンと来た。だから声をかけたんだけどな。
> あん? 本来のクリフ?
> さあね。特に存在を感じたこともないし、俺に“上書き”されたんじゃね? まあしょうがないよな。運がなかった。
まぁ赤子ですから……。
憑依型の転生は、元の人格問題は昔から議論されてますよね。
> …………ふっ、ああいや、悪い。罪の意識なんて訊かれると思わなかったんだわ。
> 無いね。皆無。いや、そりゃそうだろ。
まぁ、どうやって転生したかにもよりますから。
自ら望んで、対象まで決めてたらちょっとアレですけど。
> そもそも赤ん坊に個性だの人格だのはまだ無いって。何もなかったのとおんなじだおんなじ。
> だからアンタと変わらない。何もなかったところに現れた。んで、アンタもそう。何もなかったところに現れた。……だろ?
母体にいる子供には人権があるかどうかって話と同類ですよね。
例え自分に罪はないと考えても日本人なら口にしないほうが好感度は高いと思います。
> まあこれは別に俺のせいでもないしさ、俺が選んだなら俺が悪いよ。けど俺は選んでないから、じゃあ俺は悪くないよな?
まぁ、強制なら仕方がないとは言えるかと。
> ああ、うんうん。なるほどねぇ。
> アンタまだ日が浅いんだな。まだ“日本人”のつもりで言ってる。だから自責の念だの罪だの罰だの人権だの言えるんだ。
う~ん、それはまぁ日本人ですからね。
> “ここ”の住民の俺が保障するわ。
> アンタ長生きできねぇって、ソレ。
異世界の洗礼ってやつですか……。
心しておきます。
> んじゃ、もうイイや。
> 俺は大体このくらいの時間に毎日ここにいる。
> 生きてたらまた会おうぜ。そのときは、こんな下がる話はナシな?
はい、ごめんなさい。
勉強しておきます。
> 俺は……確か、そう……カトウ……カケル、だった。たぶん。名乗るなんて何年振りだこれ。名乗られたから名乗り返したけど、ここら辺であんまその名前はやめとけよ? いや、いいから。
ご忠告、痛み入ります。
> んじゃ、またな~。
> それ俺のオゴリだからさ、しっかり食っとけよ。この世界じゃフツーないんだぜ、こういうの。
ありがとうございます!
> 次があったら故郷の話でもしようぜ。同じ時代なのか? 俺たち。
> いや、いいか。じゃ。
はい、それではまた。
------ここから後半-------
>或る転生者の独白(2/2)
後半です。
> えっ、あ、はい?
> ああ、ボクですか?
> えっ! あなたもなんですか?! ああ、確かに日本人だ! ああ、よかった……よかったぁぁ…………ぅ、ここ、ここなんなのか分かんなくて……みんなボクを“クリフ”って呼ぶんです!
え? あなたはクリフさんじゃ……?
> もう、わけがわからなくて……なんで生きてるのかとか、ここはどことか! 身体もこんな、しらないし……おっきいし……。
赤子のころに転生したんじゃ?
> 昨日、ですか? いや、あなたとは会ってないですよね……だって、え? 昨日って、“どっちの”ですか? “あっち”なら、ぼくは塾が終わって帰ろうって……………………違いますか……分かんないです、気がついたらここにいて……もう、なにがなんだか!?
まぁ、落ち着きましょう。
こっちも大混乱です。
> ああ、ああ……そうですよね……落ち着かないと、すみません……へへ、けどよかった……あなたに会えて本当に安心しました。
日本人同士ですからね、仲良くしましょう。
カトウさんですよね?
> え? かとう……、じゃ、ないです、けど……。
え? じゃあお名前は?
> ああ、はい!
> ボクは立花建人っていいます!
> よろしくお願いします……!
……よろしくお願いします。
あの、もしかして……
> はい、なんですか?
いや、なんでもないです。
> …………そう、ですか?
> なにかあるなら、もうなんでも言ってくださいね!
> ボクたち、日本人同士なんですし!
はい。ありがとうございます。
以上です。
カトウさん、上書きされてて……(笑
いやでも、転生で上書きってこんなのですよね。
こう、相対して話してみるとその不気味さや理不尽さが良くわかります。
界隈の異世界転生祭りへのアンチテーゼですね!
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