No.3 (第2話)の感想

 続き、ではなく。2つ目の別個のお話です。




>或る酔漢の独白


 酔っ払い男の独白、ですね。

 2話に分かれているのですが、そんなに長くないので一緒に見ていきます。



> 死後の世界なんて信じちゃないんだ。

> 有るものは有るし、無いものは無いのが心情でね、だから見れも感じれもしないあの世なんてものを信じ抜くほどお気楽な人生でもないし、信じ抜くしかないほど救いのない人生でもないんだ、今んとこ。


 よくありそうな酔っ払いのセリフっぽいですね。

 最後の「今んとこ。」あたりが軽薄そうな雰囲気です。



> まあ、死後の世界はなくて、死んだらお終いって言うんなら、人生に意味なんてないって悲観する連中がいるのも知ってる。

> ああ、意味なんてないね。


 達観してますね。

 もしくは諦観してる?



> けどよ、生きてる限りオレたちは常に意味を求めて、また求められてもいる訳で、それに四苦八苦して追われてる。そんな世の中に疲れてる身としてはさ、人生の究極的な無意味さに胸がすく思いもするんだよな。

> ようやく意味なんてものから解放されるんだってさ。


 「究極的な無意味さ」って何でしょう?

 胸がすくって……。

 「解放される」というのもちょっと気になります。



> それに、死の平等性にも救われるね。死後なんてものがあって、それが人生の採点だか審判だかを兼ねているなんて世界、残酷すぎて辛すぎるよ。救いがない。死後の通知表なんざまっぴらだね。


 死後の世界なんてものを考えるとそうですよね。

 裁かれるくらいなら死にたくない。

 免罪符はいかがですか(何



> 人生は無意味で、死からは逃れられず、どう生きようと同じように消えてなくなる。だから自由なんだ。だからこそ本当に自由で、その上死後に自由の責任を問われたり採点されたりもしない。

> その本質的平等性と無意味さと、究極的自由に救われるんだ。


 酔っ払い?のくせに哲学的すぎやしません……?

 とかく、死後が無なら、死は自由で平等だ、というわけですね。



> それに、どんな外れた人間でも、偉人や天才や先祖代々様方と同じになれるなんて、オレはそのことに心底から安心するんだよ。


 ふむ。劣等感からの発言ですか。

 矮小な私は、平等になれると安心というその気持ちがよくわかります。




-----(注:ここから次話)-----




> どうにも偉そうで小難しくなっちまった。哲学なんてガラでもタチでもねんだ。


 いきなり酔いが醒めましたか!?

 もっと飲んでください!



> 要するに、みんなと違うことで不安に苛まれることの多かった身としてはな、どんなことがあっても最後はみんなと同じになるという事実に心底から安堵できるし、救われるんだよ。


 極論、これですよね。

 織田信長が幼少期に親に向かって「皆、死ぬことは決まってます」と発言したくらいに平等です。



> 大層なことを大仰に語ってはいても、結局その根底はこんな個人的経験と心情なんだ。ちっこいな。


 いえ、それが自覚出来ていれば小さくないと思いますよ。



> …………どうにも後ろ向きに聞こえるよな。本当に言いたいのはそうじゃねんだ。

> 死後は無く、人生は無意味で、人はみな死という最期を迎える。この結末が同じであるからこそ、どんな人生を送ってもいいということでもあんだ。どんな過程を選んでも良いってことだ。


 おっと業の正当化ですね。

 ちなみに、死後に意味を与え、そこから生きることに意味を与えるのが宗教でしょう。



> この結末の平等性と、逆説的にもたらされる自由さのおかげで、人は後の採点や審判なんかの打算を抜きにして、心から「良し」とする生き方を模索できるはずなんだ。


 酔っ払いなのに頭が回りますね?

 自分がやることに「ヨシ」と言いたいことはわかりました。

 ……現場猫(ボソッ



> どうだ? 結構前向きになったろ?

> 逆説的の意味はよく分かってねんだ。そのうち使ってみようと思ってた。んで、機会があったから使ってみただけだ。賢そうだろ?


 あ、励ましてくれてたんですね!

 大丈夫です、酔ってこんな話がすらすらと出てくる時点で賢いです!



> まあ、俺が思うのはそんなんだ。だから何ってもんでもねえよ。こんだけだ。

> じゃあな、お互いすっきり生きて、無意味に死のうぜ。


 ありがとうございます。年配者のうんちく語りよりも楽しかったです。







 以上です。

 気の良い酔っ払いでしたね!

 途中、前回みたいに殺しを正当化して殺されるのかと思いました(そうだね?)。


 酒の席で哲学的な話を振る人はたまにいますよね。

 そんな調子で聞くと面白いです。

 相手が帰っちゃったあと、取り残された余韻がそのまま読後感でした!






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