No.4 第2話の感想
続き……の前に。
第1話では表現について言及しまくりましたが、ストーリーについては皆無でした。
なので、この場で感想を述べます。
まず、スマホに転生という発想は斬新ですね。
他にも人がスマホに入るといったお話はあるみたいですが、私は初めて拝見しました。
小説を読む人は、登場人物に自分を投影してカタルシスを得るものです。
スマホになった「僕」に共感できるものなのか?(しかも主人公)
それで物語がどう紡がれていくのか、という点で、非常に興味が惹かれています。
また「僕」のヤンデレ的な重い愛情がなんとも不気味でしたね。
一方で、スマホ化しているのでその願望がどこまで実現されるのか、その想像がつきません。
旅に出るという以上に、スマホの「僕」と「君」の関係がどう展開していくのか。
読者としてそこが最も気になっています。
では改めまして続きです。
>第2話 焼けた記憶
前回、「僕」の記憶に火事ぽい描写がありましたね。
その話でしょうか。
>1
第1シーン。
>炊き立てのごはんの湯気が、食卓の中央でふんわりと揺れていた。
>母の作る豚汁は、家中にやさしい匂いを満たして、思わず腹の虫が鳴いた。
>父は新聞を畳み、眼鏡を外しながら「いただきます」と口にする。
>隣で弟の**結(ゆう)**が、箸を持ってもぐもぐと白米をかきこんだ。
これは現代っぽいので「僕」の記憶ですね。温かい家庭のようです。
あ……ところで、ChatGPTを使うとわかるのですが、** ** で囲まれた部分は強調です。
本来は太字になるところなのですが、どういうわけかよく変換されずに表示されます。
ですので、この部分は変換ミスですね。
> これは、主人公にとって“何でもない日常”だった。
> 豊かな暮らしの中にあった、穏やかな家族。
>兄として弟の宿題を見守り、自分の部屋で勉強を終えた後、リビングで両親とたわいない話をしながら笑う。
>母が紅茶を淹れ、父がニュースに文句を言うその空気さえ、心地よかった。
> その全部が、疑いようもなく“永遠”のものだと思っていた。
行頭がそろっていないのがちょっと気になりますが。
それよりも表現方法が少し目につきました。
「主人公にとって」
主人公って? 「僕」のこと? 名前はないんでしょうか。
地の文で主人公を主人公呼ばわりする(何だこの表現)のは、かなり奇異な感じです。
さすがにずっと「主人公」表記じゃないですよね?
「“何でもない日常”だった。」
好みの問題かもしれませんが、このあたりの父母や弟との描写がすべて「何でもない日常」です。
これだけのボリュームで日常を語っているので、わざわざ言葉で言う必要はないでしょう。
こうして二重で表現する場合は、特に強調したいときに用いると良いと思います。「同じように、「豊かな暮らし」「穏やかな日常」も、描写で足りるなら入れない方がよろしいかと思います。
何となく、ストーリー上そこまで重要でないように感じたもので。
> だが、その“永遠”には、小さな綻びが少しずつ生まれていた。
> 弟の顔立ちが、自分や父とは少し違っていることにも――
ママン。あなたが原因ですか。
> ある日、夜中に目を覚ました主人公は、両親が激しく口論する声を聞いた。
> それが、もう二度と“あの幸せな食卓”には戻れないものだということは、
> 子どもながらにも感じ取れてしまった。
子供にとって辛い光景です。
句点(、)での改行があるようですので気をつけてあげてください。
> ――幸せは、ゆっくりと、だが確実に崩れていた。
これも好みですが、蛇足な気がします。
親の口論の時点でゆっくりどころか崩壊気味ですから。
情景で表現するのか、まとめた言葉で表現するのか。
どちらかのほうがスマートに見えます。
(このへんの癖もChatGPTの仕業でしょうね)
>2
第2シーン。
>ほんの些細なことだった。
>母のスマートフォンに表示された、知らない男の名前と、親しげなメッセージの数々。
>それを父が見つけたのは、いつもの夕食の直前。
え、些細?
致命的なやつっぽいですが。
>食卓にカトラリーの音が鳴り響き、弟の結が嬉しそうにカレーの匂いを嗅いでいた、そんな日常の中だった。
これもさっきと同じで「日常の中だった」は蛇足に感じます。
この部分を消しても通じると思いませんか?
>父は無言でスマホを置き、冷めたカレーをじっと見つめていた。
>母はそれに気づきながら、何も言えず、黙った。
>その日から、家の中が異様に静かになった。
パパン、怖えぇぇぇぇ!!
無言、無表情ほど怖いものはないですよ!
>仕事から帰ると口数が少なくなり、食卓には座らず書斎にこもるようになった。
>母は無理に笑っていたが、明らかに顔色が悪く、夕食の品数は減っていった。
不仲はともかく、しれっとネグレクト始まってません?
ママン、焦ってるのはわかるけど子供への愛情はないの?
>「ねえ、お兄ちゃん……お母さんとお父さん、ケンカしてるの?」
>「……大丈夫。すぐ元通りになるよ」
子供はそう信じたいですよね。
これは不憫すぎてツラたん。
>その希望は、やがて踏みにじられる。
この、場面を総括する言葉が先頭にあると、先の内容が見通せてしまうんですよね。
さっきの「日常」の表記などもそうですが、無いほうが読む楽しみが増える気がします。
回想だってわかっているし「僕」が不幸になったというのも既知ではあるんですが。
入れちゃダメ? って言われると、好みの問題、となります。
>ある日、母が泣きながら電話で誰かと話しているのを見てしまった。
>「この子は……あなたの子よ……お願い、逃げて」
うーん?
目の前にいて、殺されそうなら「逃げろー!」でわかるんですが。
裁判とか何とかされる前に、間男を逃がしてるってことですよね。
電話口で「この子」発言ってするものでしょうか??
もう生んじゃってるわけですし……。
これはおそらくChatGPT節の、微妙な言い回しシリーズですね。
ところで、この手の間男って言われなくても逃げそうと思うのは私だけ?
>その“この子”が誰を指しているのかは、明白だった。
>弟の結は、父の子ではなかった。
>裏切り、嫉妬、そして怒り。
主語がないですね。これは誰が感じたのでしょう?
「僕」? 父?
「僕」が感じたのなら、その抱いた感情はどこに向かったのでしょう。
ちょっと言葉足らずな気がします。
>ある晩、父が酒を飲みながら、弟に向かって言い放った。
同じ文脈の流れですが、「ある晩」で場面転換です。
>「おまえだけは俺の血じゃない。あいつの顔をしたクズめ……!」
>そのときの父の目は、赤く濁っていた。
「あいつ」って言ってます。
なるほど間男とやり合ったわけですか。だから「逃げて―」だったのですね。
>そして次の瞬間には、母と弟を縛り上げていた。
え!? 瞬間!?
パパン、素早すぎない!? どこのZ戦士ですか!(古)
好意的に解釈すると、「僕」が混乱している間に父が縛り上げたってことでしょう。
>僕は何が起きているのか分からず、ただ部屋の隅で震えていた。
>部屋にはガラスの割れる音、悲鳴、殴打音、そして……灯油の臭い。
ごめんなさい、端っこで混乱してましたね。
これは「僕」、ツラたんです……
しかしパパンも、「僕」への愛情は皆無なのか……
>「全部、おまえらのせいだ……!」
>父は笑っていた。
ああ、パパン、目が逝ってる。
>母の絶叫、弟の泣き声、それらすべてが燃え盛る炎に呑まれていった。
>僕だけが、奇跡的に生き残った。
>崩れかけた窓から外に転げ落ち、雪の中に身を投げて、息を殺して、ただ泣いた。
>何もできなかった。
>家族を救えなかった。
>あのとき、外に出してやれなかった――結を。
「僕」には大変つらい、悲しい出来事でした。
すみません……ちょっと一言。
つらい背景はよくわかりました。
ただ、表現のボリュームバランスが何とも言い難いです。
幸せな日常の表現はけっこうあったのに、この最後の部分はあっさり。
むしろ、この助け出せなかった後悔が「僕」のヤンデレ化に繋がるのでしょう。
脱出シーンで「僕」が見た光景、想いなどをしっかり描写したほうが、読者への説得力が増します。
(炎の中で悲鳴(具体的に「助けて」とか)を聞くとか、目と目が合うとか)
いや、ごく個人的に凄惨なシーンは苦手なのでこのほうが良いんですが。
もしかすると、後でもっと詳細に語るために伏せてあるのかも?
>3
第3シーン。
>「もうすぐ焼けるよ」
>ユウはそう言って、焚き火の前にしゃがみこみ、小さな魚を串でくるくると回していた。
>パチパチとはぜる音。森にしみ込むような、夜の冷たさ。
>でも、その火だけはとてもあたたかくて、見ているだけで心が落ち着く。
火事シーンの後のたき火。
この火で「僕」が思い出したのでしょうか。
ユウが温まっている光景とのギャップが何とも言えません。
>スマホの画面に映る主人公の視界は、じっとユウを見つめていた。
いや、だから「主人公」の名前は……
>今はリュックの横に立てかけられている。
>風で画面が一瞬揺れるたび、心の奥にしまっていたものが、ふわりと浮かび上がる。
置いてあるスマホが風で揺れる……落ちたら割れちゃう! と思うのは私だけ?
地べたに置いてあるけれど、不安定ってことですかね。
ごめんなさい、割とどうでもよいことが気になってしまいました。
>──弟、結(ゆう)の笑顔。
「僕」の回想その2。
今の情景に重ねて思い浮かんでいるようです。
>「兄ちゃん、焼けたよー!」
>フライパンで焼いたおにぎりを、嬉しそうに差し出してきた日。
>「うまく焼けた?」って聞くから、「ちょっとこげてる」って言ったら、すねたふりをして、でもすぐに笑った。
>……その笑顔が、目の前のユウに、重なった。
>(……ほんとに、似てるな)
えっと。
ごめんなさい、私の読解力の問題なのか、複数の解釈ができてしまって。
先頭の掛け声は、たき火をやっている「ユウ」。
「嬉しそうに差し出してきた日」とあるのは、ありし日の「結」ですよね。
3行目はどっち? 「ユウ」? 「結」?
もしかして、まったく同じ動作をしたということ?
少し混乱しました。
>「ん? どうかした?」
>焚き火の灯りに照らされたユウが、スマホに顔を近づけてのぞき込む。
>心配そうな、くりくりの目。
>主人公は、画面に小さく、ゆっくりと言葉を浮かべた。
「僕」は、発声することもあれば、文字で会話することもあるんですね。
すごい、便利!
>《ううん。大丈夫だよ》
>「そっか……変なこと聞いちゃってごめんね」
>《謝らなくていいよ。やさしいんだね、ユウは》
ユウ8歳。すごい気遣い屋さん!
育ったのがそうなっちゃう環境だったんでしょうか?
>「あのさ、今日の夜ごはん、ちゃんとできてよかった」
>《うん、えらいね》
あ、ここで報告してましたね。
かわいいやり取り!
さっきの部分は、ありし日の「結」との会話だったようです。
>「えへへ。ねえ、今度はさ、森のもっと奥にも行ってみたいな」
>その一言で、主人公の“なにか”がふるえた。
>画面の隅が、すこしにじむ。熱か、思い出か、それとも──
もう「僕」を主人公と表記されるのにも慣れてきました。
ユウの発言に色々と心を動かされるわけですね。
感情表現を頑張ろうとしているのはわかるのですが……
いかんせん、スマホなので動きがあると不自然です。
「画面の隅が、すこしにじむ。」と言われると微妙な感じが。壊れたの? って。
漫画の1コマで、スマホへの集中線や、キラキラが舞うような演出が思い浮かびます。
う~ん、でも文字だとどう表現すれば良いんでしょうね。
ユウに「震えた?」とか、「熱くなってる?」とか、気付かせるほうが自然?
>(……外に、出たいんだ)
>「うん……いってみたい! ぼく、外に行きたい!」
これ、会話ですよね?
括弧が、丸括弧ではなく、《 》 と思います。
でないと、ユウがエスパーになっちゃいます。
>その声。
>その願い。
>あの時、外に出してやれなかった。
>結の手を引いて、ドアを開けて、燃える家から逃げられなかったあの日の自分。
「僕」が思いを募らせてますね。
そっくりなユウに、相当、惹かれてます。
>(……今度こそ)
>スマホの中で、何かが決まった。
ちょっと!
少し盛り上がったところで、この表現はどうなんでしょう(笑
あまりに無機的な感じがしませんか? 「スマホの中で~」って。
感情が揺れたときには不自然に画面がにじむくらいなのに……
せめて「僕」の心境の描写が欲しかったです。
こう、無理にスマホを使わなくても……
「あの日の後悔が「僕」の背中を押した」とかでも良いわけです。
>《もし、外の世界を見られるなら……見てみたい?》
>「うん!」
>主人公の画面に、ぽつりぽつりと言葉が灯る。
ここのスマホたる表現は面白いですね。
人間なら「言葉が漏れる」みたいな表現のところです。
>《そっか。なら……行こう》
>焚き火の音が、遠くなった気がした。
>どこかで、別の何かが、静かに燃え始めていた。
以上が第3シーンです。
ここまでが第2話となります。
タイトルどおり「僕」の焼けた記憶が中心でしたね。
第3シーンは前話の第5シーンの焼き直し?のようです。
ストーリー的にはまだ足踏みです。
第2話で「僕」がユウに執着する理由がわかりましたね。
ただ、「僕」と結がどのくらい仲が良かったのか。
どのくらい兄として弟が好きだったのか。
それがもっと書かれていると、結を置き去りにした後悔がもっと際立ちます。
少なくとも、ドロドロの愛情を抱いているくらいですからね。
その背景が強ければ強いほど、執着への説得力が出ます。
ぜひ、考えてみてください。
また、スマホ独特の表現がいくつか出てきました。
不自然でない程度であれば「面白い」と感じました。
テクニカルなところではありますが、こちらも工夫してみると良いかもしれません。
引き続き、第3話を読んでいきます。
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