人が恐怖を感じる瞬間は様々あると思うのですが、未知のもの、それも自分の理解預かり知らぬものの存在に触れた瞬間の恐怖は測れないものがあると思います。今回拝見した作品では短歌でそのような世界に触れることができる機会となりました。それも、現実と地続きの描写からあちらの世界が描かれるので、何か彷徨った先に見つけた何かのように感じられます。
【焚べたるは〜】という初手の作品からただことでない雰囲気を漂わせ、【コツコツと〜】でどこか夜と不穏な情景が鮮明になり、【ひをかこむ〜】がひらがなという異質を感じる表現にかえることで異界の入り口を感じさせる。後半の作品からは釘付けでした。羨ましい世界観の構築力。また別の作品も見てみたくなりました。