第8話「闇の回廊と影の試練」

扉の向こうには――

静まり返った「闇の回廊」が広がっていた。

光の庭の明るさとは打って変わって、ここにはほとんど光が届かない。

かろうじて床に埋め込まれた淡い光の石が、進むべき道を示していた。


「なんだか…空気が重いな」

リクが前を見つめて言う。


「足音が響くの、ちょっとこわいね」

ミミは不安げにリクの後ろに続いた。


カイは懐から自作の小さなランプを取り出し、光を増やす。

「光が弱いけど、これで少しは見えるはずだ」


そのとき――

壁からにゅっと影がのびて、通路をふさぐように揺れた。

「わっ!」ミミが思わず声を上げる。


影はゆらゆらと形を変えながら、子どもたちに問いかけるように動いた。


ポコが羽ばたいて上から様子を見ようとするが、闇に飲み込まれてすぐに戻ってきた。

「高く飛んでも、先は見えない!」


ググは地面を少し掘ってみるが、影がすぐに穴をふさいでしまう。

「これじゃ、進めないよぉ…」


リクは影をにらみつけて言った。

「これはきっと、ここを通るための試練だ」


カイは冷静に観察し、つぶやいた。

「影は光を当てると薄くなる…でも、ただの光じゃ駄目みたいだ。強い心の光が必要なのかも」


「強い心…?」ミミが首をかしげる。


そのとき、影が三人と二匹を分断するように伸び、ミミを後ろへ押し戻そうとした。

「いやっ! 離れたくない!」ミミは必死に叫ぶ。


リクが手を伸ばし、「大丈夫だ! みんなで一緒に行くんだ!」と強く言った。

その瞬間、ランプの光がふっと強まり、影の一部が消えた。


カイが目を見開いた。

「わかった! 互いを信じて声を掛け合えば、この影は弱まる!」


「ほんとに? じゃあ…!」

ミミは勇気をふりしぼり、リクとカイ、ポコ、ググの名前を大きな声で呼んだ。


ポコも羽をバサバサさせながら、「みんな一緒だ!」と叫ぶ。

ググも「ぼくも役に立ちたい!」と懸命に声をあげる。


すると――影はみるみる縮んでいき、やがて霧のように消え去った。


闇の回廊の奥に、再び淡い光が浮かび上がる。

リクは胸を張って言った。

「仲間を信じる心こそが、闇を越える力なんだな」


カイもうなずき、ミミは涙をぬぐって笑った。

「うん、みんながいてよかった!」


三人と二匹は再び歩みを進める。

闇を抜けた先に待つのは、いよいよ島の核心へとつながる光景だった――。

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