第6話「みんなでひとつ」
光のアーチをくぐったとたん、あたりがまぶしく光った。
気づくと、みんなは見知らぬ草原に立っていた。
「ここ……島の中なの?」ミミがきょろきょろと辺りを見回す。
草原の真ん中には、大きな石の柱が立っていて、そこにまた文字が刻まれていた。
《心をひとつにできる者、進むことをゆるす》
「心をひとつに……って、どういうこと?」ポコが首をかしげる。
*
そのとき、石の柱の上から“パリン!”と光のかけらのような石が四方に飛び散った。
ひとつは高い木の枝、ひとつは小川の底、ひとつは暗い洞穴の奥、そして最後のひとつは草原の岩のすき間。
「どうやら、この石を集めなきゃならないみたいだね」カイが冷静に言った。
「よーし、みんなで探そう!」リクが声をあげる。
*
まずは木の枝の石。
「ぼくにまかせて!」とポコが羽ばたいたが、枝が高すぎて近づけない。
そこでカイがリュックから取り出したのは、小さな“パチンコ発射台”。
「これで枝を軽く揺らせば――」
みんなで協力して枝を狙い、石を無事に落とすことができた。
次は小川の底の石。
ググが一生懸命掘り進んで川底に近づこうとしたけれど、足をすべらせて水にドボン!
「わわっ!」
慌てて飛び込んだミミが手を伸ばし、二人でバシャバシャ水をかきわけながら石をつかんだ。
「ドジしちゃったけど……ミミ、ありがとう!」ググは照れ笑いを浮かべる。
洞穴の奥の石は真っ暗で、何も見えない。
「これじゃあ探せないよ……」
そこでカイは、空き瓶と小さな鏡を組み合わせて作った“ひかりライト”を取り出した。
「太陽の光を反射させれば、ほら!」
洞穴がぱっと明るくなり、奥にキラリと光る石が見えた。
最後に残ったのは岩のすき間の石。
リクが力いっぱい押してもびくともしない。
「うーん……ダメか」
そのとき、ググが下から穴を掘って岩を少しずらし、ポコが「ここだ!」と場所を指示。
リクとミミが力を合わせて押すと、ようやく石がころりと転がり出た。
*
四つの石がそろった瞬間、石の柱がまばゆい光を放ち、ふわりと宙に浮かびあがった。
光は空へと伸び、やがて水晶のように透きとおった門へと姿を変した。門の内側からは、淡く歌うような音が聞こえてくる――まるで遠くで風が鈴を鳴らすように、優しく、でも確かに。
リクは仲間を見回し、言葉を詰まらせながらも笑った。
「みんなで力を合わせなきゃ、ここまで来られなかった。……あの門のむこう、絶対に何かがある。行こう。」
ほのかな光が三人と二匹を包む。足元に小さな震えが伝わり、草の匂いがふっと変わった。
ミミは思わず目を大きくして、「あれ……!」とつぶやく。
門の向こう側から、ふんわりとした光の粒がこちらへ流れ込んでくる。それは「歓迎」のようでもあり、「試される予感」でもあった。
「準備はいい?」カイが落ち着いて尋ねる。
ポコが大きく羽を広げて、「いざ行かん!」と高らかに叫んだ。
ググも小さくガッツポーズをして、みんなで一歩を踏み出す。
そして、光の門をくぐった瞬間――世界がぱっと開けた。
そこは、これまでの島の延長線上ではない、まったく新しい「光の庭」だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます