第6話「みんなでひとつ」

光のアーチをくぐったとたん、あたりがまぶしく光った。

気づくと、みんなは見知らぬ草原に立っていた。


「ここ……島の中なの?」ミミがきょろきょろと辺りを見回す。

草原の真ん中には、大きな石の柱が立っていて、そこにまた文字が刻まれていた。


《心をひとつにできる者、進むことをゆるす》


「心をひとつに……って、どういうこと?」ポコが首をかしげる。



そのとき、石の柱の上から“パリン!”と光のかけらのような石が四方に飛び散った。

ひとつは高い木の枝、ひとつは小川の底、ひとつは暗い洞穴の奥、そして最後のひとつは草原の岩のすき間。


「どうやら、この石を集めなきゃならないみたいだね」カイが冷静に言った。


「よーし、みんなで探そう!」リクが声をあげる。



まずは木の枝の石。

「ぼくにまかせて!」とポコが羽ばたいたが、枝が高すぎて近づけない。

そこでカイがリュックから取り出したのは、小さな“パチンコ発射台”。

「これで枝を軽く揺らせば――」

みんなで協力して枝を狙い、石を無事に落とすことができた。


次は小川の底の石。

ググが一生懸命掘り進んで川底に近づこうとしたけれど、足をすべらせて水にドボン!

「わわっ!」

慌てて飛び込んだミミが手を伸ばし、二人でバシャバシャ水をかきわけながら石をつかんだ。

「ドジしちゃったけど……ミミ、ありがとう!」ググは照れ笑いを浮かべる。


洞穴の奥の石は真っ暗で、何も見えない。

「これじゃあ探せないよ……」

そこでカイは、空き瓶と小さな鏡を組み合わせて作った“ひかりライト”を取り出した。

「太陽の光を反射させれば、ほら!」

洞穴がぱっと明るくなり、奥にキラリと光る石が見えた。


最後に残ったのは岩のすき間の石。

リクが力いっぱい押してもびくともしない。

「うーん……ダメか」

そのとき、ググが下から穴を掘って岩を少しずらし、ポコが「ここだ!」と場所を指示。

リクとミミが力を合わせて押すと、ようやく石がころりと転がり出た。



四つの石がそろった瞬間、石の柱がまばゆい光を放ち、ふわりと宙に浮かびあがった。

光は空へと伸び、やがて水晶のように透きとおった門へと姿を変した。門の内側からは、淡く歌うような音が聞こえてくる――まるで遠くで風が鈴を鳴らすように、優しく、でも確かに。


リクは仲間を見回し、言葉を詰まらせながらも笑った。

「みんなで力を合わせなきゃ、ここまで来られなかった。……あの門のむこう、絶対に何かがある。行こう。」


ほのかな光が三人と二匹を包む。足元に小さな震えが伝わり、草の匂いがふっと変わった。

ミミは思わず目を大きくして、「あれ……!」とつぶやく。

門の向こう側から、ふんわりとした光の粒がこちらへ流れ込んでくる。それは「歓迎」のようでもあり、「試される予感」でもあった。


「準備はいい?」カイが落ち着いて尋ねる。

ポコが大きく羽を広げて、「いざ行かん!」と高らかに叫んだ。

ググも小さくガッツポーズをして、みんなで一歩を踏み出す。


そして、光の門をくぐった瞬間――世界がぱっと開けた。

そこは、これまでの島の延長線上ではない、まったく新しい「光の庭」だった。


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