第5話「光のアーチ」
金色のコンパスの針が、ぴたりと森の奥を指していた。
そこは昼間でも暗く、木々がからみ合って道もわかりにくい。
「ちょっと、こわそうだね……」ミミが声をひそめる。
「でも、コンパスが教えてくれてるんだ。行くしかないよ」リクがきっぱりと言った。
*
森の入口に足をふみ入れると、空気がひんやりしている。
木のすき間から、細い光がすーっと差しこみ、道を示すようだった。
「この光をたどればいいのかも!」カイが目をかがやかせる。
「ボク、上から確認してくるね!」ポコが羽ばたき、森の中を見おろした。
「うん! 道はちゃんと続いてるよ!」
ググはというと、どきどきしながら小さな穴を掘っていた。
「みんなが通れなくなったら、ボクがトンネルで近道をつくるからね!」
*
やがて、一行は不思議な場所に出た。
木々の間に石でできた小さなアーチが立っている。
古い文字がびっしり刻まれていて、カイがじっと読み取る。
「……“ここをくぐる者、ひとつ心をためされる”って書いてあるよ」
その瞬間、アーチの奥がふわっと光った。
金色のコンパスの針も、その光に向かって震えている。
「また試練みたいだな……」リクがつぶやく。
でもすぐに顔をあげて言った。
「大丈夫。ぼくら、みんなで力を合わせればきっと進める!」
*
ポコが羽をふるわせ、ググがこくんとうなずく。
ミミとカイも笑顔でうなずき返す。
そして――
ちびっこたんけんたいは、光のアーチをくぐった。
次の試練が待つことを知りながら。
リクは空を見上げて、力強く言った。
「ここを抜ければ、島の秘密にもっと近づけるはずだ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます