唱えて。

湊 小舟

あなたのためのおはなし。

人間は暗いのが嫌いである。

だが、暗いのが大好きでもある。

そう、矛盾しているのだ。


個人的な意見ではあるが、

この矛盾こそ、それこそが、

人間の本質なのかもしれない。


太宰治氏の小説が良い例だ。あの鬱屈として退廃的な雰囲気を、気分が良いとは言えない。

だが、なぜか読み進めてしまう。

それは、自己嫌悪に陥ったり、自堕落になったりする自分と同じような、どうしようもない存在に「共感」してしまうからだろう。


幸せは感じにくく、不幸ばかりが頭に残る。

だから、自分と同じ不幸を抱える誰かに、

惹きつけられるのだ。


......しかし、共感した後はどうする?


辛いことや嫌なことは頭に残るのに、

楽しいことや幸せはどこへ消えたのか?


答えは簡単だ。それらは、まだ

「綺麗な記憶」として認識されていないだけ。


「綺麗な記憶」というものは、

懐かしいと感じられるほどの未来になるまで

なかなか見えてこないものである。

意外と幸せな今に気づけず、

楽しめなかったりする。


そこから発生したネガティブな諸々、

特に諦観や絶望というものは、

まるで過去にボコボコにされるようで痛い。


人生が嫌になることもまぁあるだろう。


しかし、人はどうしようもない時でも、

何かを理由にして生き延びようとする。


お気に入りの漫画、

新しいゲーム、

好きな小説の更新。


生きることに、大それた理由なんて

いらないんじゃないか?私はそう思う。


些細な希望や幸せを原動力にして、

人は毎日を懸命に生きている。


たとえそれが、誰かと比べて絶望したり、

将来に不安を感じたりする、

不毛な人生だとしても。


それでも、心の痛みというものは、

精神に深い傷をつける、

痛く苦しいものである。


そんな時、思い出してほしい。


"あなたの人生は、多分思うようにはいかない"


...悪口に聞こえるかもしれない、

しかし、こう考えてほしい。


失敗してもいい。不毛な人生を歩んでもいい。

完璧じゃなくてもいいのだ。

とりあえず、当たって砕けろの精神で、

色々挑戦してみよう!


堂々と、どん!と構えて生きていけばいい。


......それでも辛くなった時は、

人からもらった愛情や友情を思い出して。


もしくは、これから始まる愛情やら友情について、脳内で考えてみるのも一つの手だ。


それでもなんとかならないことは多々ある。

何もかもが敵のように感じられるような、

そんな時。


───決して死のうなんて思わないでほしい。


なぜなら、私という、

顔も知らない、文字だけの人間が、

あなたをたしかに思っているからだ。


そして、最後に、おまじないを教えよう。


「大丈夫、なんとかなる。」


何の根拠もない、ただの言葉。

しかし、思い込みの力は、なかなかに強い。

もし、それでもなんともならないなら、


誰かに相談してみるといい。


相手がいないなら私が相談相手になろう。

あなたの相談に、いくらでも付き合おう。


なぜなら、私は暗いのが嫌いだからである。


......拙い文であっても、

これだけはあなたに伝えたかったのだ。


───どうか、あなたには生きていてほしい。


それだけが私の個人的な願いである。

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