第57話 職場内恋愛が起きてた
お昼時間に弁当を受け取り食べたあと、シオリちゃんと別れる事なく一緒に絵を描いた。
シオリちゃんはクラスに友達がいないのだろうか?まぁ僕もクラス替えのあとあまり経ってないからか、仲がいい人は少ないけどね。
体の大きさというものは子供の時は大きな意味を持つ。
何せ僕とクラスで一番背の高い吉田さんの身長差は45センチもある。
吉田さんは大人の中では学校の教員の中では小柄な、保健室のおばちゃん先生からと同じぐらいの背があるそうだ。
僕は集合時刻の1時間前には、そのまま出しても問題ない状態まで仕上げられていた。
だから僕は集中し始めたシオリちゃんの邪魔にならないよう、静かにベンチに座って、写生大会終了のアナウンスがあるまで大人しくしていた。
それにしてもシオリちゃんは綺麗な子だと思う。
天野さんは、そこまで歴史ある血筋では無い事く、家業も戦後に大成長した商社との事だけど、生まれながらお嬢様として育てられたというのは違うものなのだろうか。
「相川、もう良いのか?」
「はい、完成しています」
僕が何見せず座っているのが目についたのか。見回り中の担任に声をかけられてしまった。
「どれ、見せてみろ」
「はい」
僕は、汚れないよう画板にひっくり返して置いてあった絵を見せた。
「上手いじゃないか……、というかこの2人は誰だ?」
「僕達の後ろのゴンドラに乗ったカップルです」
「チッ……、リア充め……」
どうやら担任は恋愛がうまくいってないタイプらしい。
「駄目ですか?」
「良いんじゃないか?実際にこうしてたんだろ?」
「はい」
どうやらイチャイチャしているカップルを描いても問題無かったらしい。
「でも何でこいつは手の平が描かれて無いんだ?」
「服の中に入ってたからです」
「何ぃ!?」
担任は目を見開いてワナワナと震えだした。
「でも、電車で捕まった痴漢の人みたいだって思って……」
「ぉ……ぃ……」
あれ?担任の先生?何かいけない事呟いてますよ?僕、前の地球の僕より頭がいいからか、唇読術っぽいのが使えるんだよ、だから「俺がガキどもの世話をしているというのに……」って呟いたの分かったんだけど。
「……先生?」
「あぁ……」
「駄目ですか?」
担任はちょっと考えたあと、画板を僕に渡して来た。
「……手は外に出して描いた方が良いな……」
「分かりました」
少し色塗り修正すれば良いだけだ。ちゃちゃっと終わる。
「ぉ……、ょぅ……」
ん?「俺もヨウコさんを誘うか」ってどういう意味だろう?
そういえば2年生までの担任だった夏目先生の下の名前がヨウコだったけど……。
「先生って夏目先生と付き合ってるの?」
「っ!」
この反応はどっちだろう?ヨウコさんが夏目先生を指すのは間違いなさそうだけど……。
「いったい何の事だ?」
「呟いてましたよ?」
「マジか……」
まぁ音にはあまり出てなかったけどね。
「観覧車は1周15分だから、早く行かないと集合時間に間に合わないですよ?」
「いや、生徒の引率中に誘うわけないだろ。週末デートに……って何言わせるんだよっ!」
1人で口走って自分でツッコんだ。これって1人ノリリックって言うんだっけ?
いやそれなら「そうだな、今からヨウコさんを観覧車にさそってそこで……って何言わせるんだよっ!」が良い感じのノリツッコミだよな。
うーん……、担任にはお笑いのセンスが無いわけだ。だからリア充になてないのかもしれないよ?
だって前の地球では、今ぐらいから関西の芸人さんがどんどん上京して活躍するようになって、過密状態ってぐらいにテレビに出るようになったからね。雛壇芸人だっけか?流行語にもなってたよ?
「前売りのチケットの方が安いですし、「親戚の子のために買ったんですが行かないって言わてちゃいまして……」とかの方が自然に誘えそうじゃない?」
「おっ……、お前天才かっ!?」
えっ?「〇〇のチケットが余って……」って定番の誘い方じゃないの?あれ?それは前の地球の僕が遊んでいた恋愛シミュレーションゲームの推しヒロインが使う手だっけ?
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