青春は……

ライ・スシワシ KKG所属🐾

青春

高校に入学して、7ヶ月がたった。文化祭、体育祭などの大きな行事が終わった。微かな無気力感を抱えながら日々を過ごしていた。

昼休み誰も来なくて、景色がとても良い昼食スポットで、俺と琢磨はその景色を眺めながら昼食を食べていた。

今日もいつものように行って、景色を眺めて食べた。広々とした青空、ちょうど良い雲の量と、位置。しみじみとしながら昼食を食べ終わると、俺と琢磨は、外の景色を見ながら独り言のように話していた。

そして不意に琢磨が上を向いてポツリと言った。

「青春って何だろうな?」

「……急に俺に聞くなよ、俺だってわからん」

突然すぎて、すぐに言い返せなかった。琢磨は基本無口だが、頭が良い。思いやりもある。だいぶモテそうな感じの琢磨が唐突に青春について聞いた。驚きを隠せない半分、疑問を感じた。


「これは俺の友達なんだけど、中学1年の頃に付き合い始めた二人がいたんだよ。そいつらな、仲が誰から見てもわかるほどよかったんだよ。それがな、中学3年になって、受験シーズンにはいるだろ?そこで忙しくなってあまりいちゃついているところを見なくなったわけなんだよ。そしたら彼女の方が急にわかれようと言い出してね、友達は驚いて悲しんでたよ。ずっと続くと思ってたみたいだし。そして別れた」


「……それから?」


「そのまま別の高校に行って楽しんでるって。でも、彼女はもう彼氏を作ったってことらしいんだよ。まだ友達は知らないけどな(笑)……こんなことがあったから青春って何だろうなって。他にもあるけど、ほとんどか恋愛とか言うじゃん、なぁ?」

「……」

何か言いたいが何も言えない。声もでない。唇がカサカサしている。開こうとしては閉じる、そんなことを繰り返していた。


「ほんっとに、青春って何だろうな(笑)」

琢磨は笑みを浮かべていたが、その顔には悲しい顔に見えた。


「そろそろ授業始まるぞ、はやく行こうぜ!」

「……うん」


「……俺にとっての青春とは……」

帰り道、俺が発した小さな独り言は、車の走行音にかき消されてしまった。

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青春は…… ライ・スシワシ KKG所属🐾 @komen114

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