先輩のメタフィクション講座

魔不可

先輩のメタフィクション講座


「この世界は、どれがフィクションで、どれがノンフィクションか、曖昧になってきている」


先輩の言葉に確かにな、と思う。

ドラマなどを見ると、あたかも本当のように感じる。

もしかしたら、実話を元に作られた作品かもしれない。

そうなったら、本当に境界線が曖昧だ。

アニメとかだったら「これはフィクションです」という注意書きがある。

これは、現実とお話を曖昧にさせない魔法の言葉だと思う。


「さあ、本題に入ろう」


先輩がメガネをクイっと持ち上げる。


「『羅生門』は、リアルに書かれているが、想像の世界は『フィクションである』と伝えるために、ある工夫が入っている」


そんなのあったっけ?



『作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた」と書いた。』



「という文がある。これは、恐らく!たぶん!!作者を登場させることで『現実ではない』という意味が込められているそうだ!!知らんけど、現国の先生が言ってた!!!」


確かに、そんな文あった気がするかもしれないかも。


「これは、『メタフィクション』要素!かもしれない!!知らんけど!!!」


メタフィクション?

ああ、確かに物語の登場人物とかが、自分がフィクションの存在であることを知っていたり、読者や作者に直接語りかけたりする状況を「メタい」って言ったりするよね。


「メタフィクションはフィクションとノンフィクションの境界線を引いてくれる、素晴らしいものなのだ!!!」


「先輩!質問です!!」


「お?なんだ?」


「この話は、フィクションですか?」


「お、いい質問だな!!今回の話をまとめてみよう!!まず、フィクションだったら『この話はフィクションです』と書かれている。…これは、書かれてないな…」


あれ?


「つ、次!メタフィクションだとしたら、『作者』が出てきたり、読者に語りかけたりするはずだ!!!……作者も出てきてないし、語りかけてないな……」


ん?


「結論!!これは、ノンフィクションだ!!!!」






はい!!


※この作品はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。


「これで、晴れてこの話もフィクションだな!!!」




なんだこれ。

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