第4話 未送信の「会いたい」

美咲はスマホを握りしめていた。

 LINEのトーク画面、入力欄には「会いたい」の三文字が光っている。

 でも、送信ボタンを押す指が震える。


「重いって思われるかな……」

 消しては打ち直し、また消す。

 その間にも、既読のつかない画面を何度も更新してしまう。


 結局、メッセージは送られぬまま。

 彼女はため息をついてスマホを伏せた。


 すると、その瞬間。

 スマホが震えた。

 画面には彼からの一言。


「会いたい」


 ……同じ言葉だった。

 美咲は、思わず声をあげて笑ってしまった。

 胸の奥のもやもやが、夏の夕暮れのようにやわらかくほどけていった。

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