第5話 買い物メモの罠

主婦の恵子は、スーパーに着くとポケットから買い物メモを取り出した。

 「牛乳、卵、パン」――シンプルだ。

 通路を歩きながら、効率よくカゴに入れていく。


 レジを済ませ、袋を両手に下げて帰宅。

「ふぅ、完璧」

 そう思いながら玄関で靴を脱ぐと、台所から夫の声が飛んできた。

「恵子ー!醤油、まだ?」


 恵子は固まった。

 ――メモに書き忘れていたのだ。


 買い物袋を見つめると、なぜかお菓子だけはしっかり入っている。

 恵子は小さく肩を落としながら呟いた。

「買い物メモって……信じすぎちゃダメね」

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