第29話
12月に差し掛かると、アドルフも俺もちょっとバタバタしてくる。
地球側諸国への年末年始の挨拶、サルドビア相手のビジネスを始めた国内企業への冬季休暇の告知準備、サルドビアの冬至祭向けメッセージの作成、長期休暇で帰省する職員や従者達の予定調整(サルドビアは年末休暇が日本より長いので交代で取るらしい)etc……とにかくやることはいくらでもあった。
俺も冬至祭に合わせて一度サルドビア側へ挨拶に赴き、年越しを向こうで過ごす事になってるからサルドビアの年末年始行事をつつがなく済ませるための練習に追われている。
余裕があれば年末年始には実家にも顔を出したいけど、出来るかどうかは調整してみないとわからない。
「……クリスマスとかお祝いしてる余裕なさそうだなあ」
ご挨拶状も兼ねて出すクリスマスカードの準備をしていたら、そんなことに気づいた。
現役の時はクリスマスなんてシーズン真っ最中のイベントだから祝った試しがなく、せいぜい補食や食堂の食事でチキンとケーキが出るぐらいだった。
クリスマスと言えば恋人達の行事。夫であるアドルフとクリスマスっぽい事でもできれば良いのだが、そんな余裕はもうどっかに吹き飛んでいった。
「ま、そもそもクリスマスって地球の行事だからサルドビアじゃ誰も知らないし意味無いか」
カードの真ん中にサルドビアの言葉で『新年おめでとう!』とアドルフ手書きで大きく書きこまれ周囲をサルドビアの縁起物イラストで飾った割とオシャレなデザインがサルドビアから届いたので早速業者へ印刷の発注をかける。カードデザインはサルドビア王家お抱え絵師、印刷から発送までは専門業者に丸投げだ。俺にはデザインも数百枚単位の印刷も出来ない。
せいぜい夜ご飯の時に地球のクリスマスという行事の説明ついでに、クリスマスという恋愛イベントの話でもするぐらいだろう。
*****
その日の夕飯は巻かないロールキャベツ(コンソメスープ味)だった。
クリスマス感ねえなーなどと思ってしまうが、異世界人にそんな期待をするのも完全に俺のエゴだし文句は言うまい。
アドルフの語る今日の仕事の話を聞きながらコンソメスープのよく染みたロールキャベツを食べ、風呂に入って温まった体でいつものように添い寝する。
(このベッド、乾燥機とか湯たんぽ入れてないから結構冷たいよなあ)
ふとそんなことを考えるとぐいと俺の腕が掴まれる。
疲れて早々に寝ついてしまったアドルフが少しでも熱を求めて俺の左腕を抱き枕のように抱き込むと、俺の手がアドルフの臀部で挟み込まれる。
薄い布越しにアドルフの息子の触感がして、微かに体温が上がった
布越しに触った感じでわかる。
(コイツ、結構デカいな……!)
俺も体格に見合ったサイズではあるがアドルフは体のサイズから予想してたサイズよりでかい。
アドルフの股間のふにふにする感じ、腕に当たる硬い胸、いつもは穏やかな眠りによんでくれる馴染みの香りと体温、月夜に輝くかわいらしい寝顔それらが妙に俺の股間に刺さってくる。
「ヤバいな、これ……」
結婚以降ずっと色々あり過ぎた上、アドルフとの添い寝もあり下半身の処理が全く出来てない。色々誤作動が起きてしまうのもやむなしと言えばそうか。
クリスマスの夜はカップルでホテルが賑わう性なる夜でもあると誰かが言ってたが、まさかこう言う意味でも性なる夜になるとは思わなかった。
アドルフを起こさないようにゆっくり左腕を抜き、ベッドを出ればパジャマの股間が膨らみかけている。
息を殺して寝室を出た後、足音を静めて自室に駆け込むとズボンを脱ぎ捨てて、1人息を殺して性なる夜を過ごす羽目になったのであった。
-30分後
しっかり処理を終えた後、ちょっと部屋に戻りたくない気分になる。
でも多分起きた時にいなかったらアドルフが落ち込むかなあと思ってしまい、二度とそうならないよう定期的に処理しておこうと心に決めてアドルフの部屋へと戻っていった。
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