第6話




ダンジョンで栽培をはじめてから半月が経過した


薬草類は数日前から収穫し始めている

他の植物は実をつけるまでまだまだ時間がかかりそうだ




「へぇ、ポーションってそんな風に作るのか」


「ある程度魔力の制御が出来れば簡単よ。まぁユートじゃ難しいかしらね」


「そういう細かい魔力操作苦手なんだよな」



ユートとソフィアのいる場所には様々な道具が用意されていた

これらはソフィアの荷物と一緒に運ばれてきたものだ

ここは空き部屋の一つだったが

現在はソフィアの作業部屋でありソフィアはポーション作りを始めていた



薬草が収穫されるまで毎日遊んでいたソフィアだが

ポーション作りは真面目にやっていた


サボったり文句垂れたりするかと思っていたので意外だった



「それにしても真面目に仕事するんだな。てっきりサボるかと思ってた」


「こんなの朝飯前よ。仕事のうちに入らないわ」


「ご飯は作れないけどな」


「それはアレよ。そう、役割分担ってやつよ」



ソフィアは料理をはじめとする家事全般はからっきしだった




「そういえばユート。私が来てからダンジョン行ってないわよね。あなたこそ働かなくて平気なの?」


「結構前にレベル4ダンジョンの攻略に参加したからしばらくは行かなくても平気かな。今お金にも困ってないし 。それに今作ってるポーションとか売れば管理局にも貢献してることになるから文句は言われないんじゃない」


「ユートたち上級探索者がヒマなのは平和だってことだからある意味いいことなのかしらね」


「そうかもな」




探索者には序列があり下から


初級 下級 中級 上級 特級


と定められている


現在 全世界の探索者は数百万人以上にも上るともいわれている


大半の探索者は下級か中級である

世間のイメージではこの下級 中級探索者が

いわゆる一般的な探索者として知られている


上級 特級探索者はその中でもほんの一握りしかいない存在だ


その昇級条件の一部は



・レベル3ダンジョンの単独攻略

・レベル4ダンジョンの攻略経験(パーティー攻略含む)

・レベル5ダンジョンの防衛戦にて一定の貢献等



これらの条件を満たしたものだけが

一流の探索者として認められた


彼等の存在は探索者たちにとっての憧れであり目標であった



それよりも上の特級探索者は

世界に数十人にも満たないといわれており

多大な功績と実力が必要とされていると言われている


彼等に関する逸話はどれも常人離れしたものばかりで

都市伝説的な存在である


その為 最重要人物として

ダンジョン管理局や各国で情報規制され

一部の関係者のみ正体が明かされていた

ユートの父親もその一人だった





ソフィアが今回作ったものは


ポーション×10

マナポーション×10



「この畑の規模だとこれ位かしら。それで薬の振り分けはどうするのユート?」


「とりあえず全部管理局行きでいいんじゃない?」


「わかったわ。今度管理局行くときに持って行きましょう」




完成したポーション類は管理局に納めることにした





「そういえば昔拾った種があるんだけど植えてもいいか?」


「構わないけどダンジョン由来ものなの?」


「多分 昔エルフの国行った時に拾ったやつだから大丈夫だと思う。一緒に落ちてた果実アレ美味しかったなぁ」


「それなら問題なさそうね 何処に植えましょうか?」


「せっかくだから別の場所にしよう。ダンジョンの真ん中がいいな」


「いいんじゃないかしら。それにしてもどんな果実なのかしら。成長するのが楽しみだわ」




こうしてユートが昔拾った種はダンジョンの中心に植えられることになった




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