第42話 真夏の戦い その4

 

 ビーチで、ルークが見知らぬお姉さん達と話していた。


 ……これだからイケメンは。


 お姉さんの1人が、ルークの腕に抱きつく。

 胸がルークの腕を包み込むが、ルークは一切の表情を変えなかった。

 そのまま姉さんを引き剥がす。


 そして何か一言口にすると、オレたちの元に帰ってくる。


「逆ナンか?」

「夏は多いよね。ああいう人」


 やれやれとルークは首を振る。


「嫌そうだな。なんでだ? すごい美人だったろ」


 それに胸も大きかった。


 ルークはため息をつく。


「美人とかそういう以前に、あの人たち成人してるよね?」

「え、まぁ、大人のお姉さんって感じだったな」

「大人が未成年の僕に手を出すなんて、人として問題があるだろ?」


 ……こ、こいつ、なんて正論を。


 ルークはドリンクを持って、パラソルの下にいる朝の元に向かう。


「朝ちゃん。飲み物買ってきたよ。はい、アイスティ」


 朝はそれを受け取ると、ルークに尋ねる。


「いくらですか?」

「え、いいよ。僕の奢り──」

「いくらですか?」

「よ、400円です……」


 朝の冷たい表情に負けて、ルークは素直にお金を受け取る。

 2人の距離は未だに縮まらないようだ。


 ……それにしても、よりにもよって何でうちの妹を。


 ビジュアルも地味だが、うちの妹には愛嬌がない。

 10人の男がいたとして、10人中10人がオレの妹ではなく、先ほどのお姉さん達を選ぶだろう。


 イケメンの考えることは分からん。

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