読んだあと、なんか黙っちゃった

ある種の「若さ」の実感が、自己欺瞞も皮肉も無理なく抱えたまま、呼吸をしているように感じられる。学校、アート、恋愛、抗い、すべてが同じ平面に置かれたまま言葉にされており、その雑多さが逆に誠実だとも思える。形式上は短歌でありながら、どこかZINE的というか、落書きのような率直さをもっていて、それが読む側の油断を軽く裏切る瞬間もちらほら。
比喩や構造の技巧性に頼るというより、むしろ無防備な視線と語り口で、読み手の内部にじわじわ染み込んでくる感触。SONYのガラケーが壊れる描写や、金髪を反旗と呼ぶくだりなど、ユーモアと諦観が分かちがたく結びついている。そうしたひとつひとつのフレーズが、ただの「青春」からはみ出たところで、どこか都市の片隅に置き忘れられた生活感と結びついていくのだろう。
そして最後の一首、「知らんぷりして、世界」で、初めてこちらを見返すような眼差しが現れる。それは世界への挑発か、それとも、ただのつぶやきなのか。どちらでもいいのかもしれない。この連作が持っている「宙吊りの強さ」こそが、今の詩的実感なのだと思わされる。

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