第2話

 2月下旬、高校入試の日、私は風邪を引いてしまった。試験が近いからと無理をして夜中まで勉強していたからだろう。


 入試の1ヶ月ほど前から、学校では受験勉強のためにと多くの同級生が欠席していた。それについて思うところはあるものの、別に先生方が黙認しているところを見るに必ずしも悪い行動ではないのだな、と自分を納得させていた。しかし、勉強量が追いつかれてしまうのではないかという恐怖に駆られて、私は放課後必死になって勉強した。夜中まで。


 無論、体調を崩したのは私の責任だ。体調管理の出来なかった私が悪い。


 それに、体調を崩したおかげで7日ほどの猶予ができた、追試験は本試験と比べて少し難しめと言われているが、この一週間で過去問を一通りやっておけば問題はないと考えた。


 前日に発熱が治まり、迎えた追試験本番。内容としては本試験やこれまでの追試験の過去問と比べて思考問題が増えた程度で、時間内に解くことができた。試験後は、はっきり言って合格を確信していた。


 誰よりも堅実に努力してきた。誰よりも清く正しく学問にはげんできた。そんな確固たる自身が私の足取りを軽くしてくれた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 2週間後、ネットで合否が出された。


 家族一同が見守る中、私宛に送られて来ていたのは……青色の文字で表示された不合格の烙印だった。


 何かの手違いではないか?


 真っ先にその考えが脳みそを支配した。(わかるはずもないのに)脳みその表面を覆うような感覚でその思考が駆け巡った後。思考を殺して画面を下にスクロールした。


 出てきたのは各教科の私の得点。しかし、私はその値を信じられなかった。


英語:82/100

国語:79/100

数学:73/100

理科:86/100

社会:2/100



五教科500点満点で私の合計点は322点であった。



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