息をしても一人

僕はしばらく部屋の中に立ち尽くしていた。


「はっ?!」

ふと正気に戻る。


…いつまでもこうしていてもしょうがない。


僕は深呼吸した。

「すぅ…ふぅー…」

呼吸できるってことは、空気はあるってことだ。

水とか食料はあるんだろうか?

とりあえず部屋の中を調べてみるか。


僕は辺りを見回した。

僕がいるのは広い部屋で、部屋の中には机や椅子といった家具は見当たらない。

窓も無い白い壁と白い床、白い天井。明るく清潔ではあるが、どこか殺風景な感じがする。今は僕一人しかいないから尚更だ。


僕は壁まで歩いていった。

壁を叩いてみる。コンコン…。

石のような金属のような、よく分からない不思議な感覚だ。


僕は時間をかけて壁を一周してみたが、出入り口らしきものは無かった。

もちろん床や天井にも目立った物は無い。(周囲は明るいのに、照明すら無い)


・・・


部屋の中をうろうろしているうちにそれなりの時間が経ったが、喉も乾かないし腹もすいてこない。

あのお爺さん、神の座を譲ったとか言っていたので、もし本当にそうなら、このまま何も食べなくても大丈夫なのかもしれないな…。


でもこんな白い部屋にずっと一人でいたら、頭がおかしくなりそうだ。

そういえば、昔のマンガに『時と精神の部屋』という何も無い場所が出てきたけど。確か、そこにずっといたら気が変になるって言ってたような気がする。今ならその気持ちがよく分かるよ…。


「いやマジでコレどうすりゃいいんだよおぉお?!」

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