臆病者
声兎
臆病者
私は臆病者だ。
自分で死ぬことすらできない臆病者だ。
誰かに殺してもらわなければ、誰かのせいにしなければ、私は死ぬことができない臆病者だ。
死のうと試みても、ギリギリのところでなぜか邪魔が入る。でも、大半が自分のせいだ。
鼓膜が破裂するほど心臓の音が聞こえて、全身の血が沸騰する。その絶頂を超えると、その場に倒れ込む。体も心もビリついて止まらない。走ったあとみたいに、息切れを起こしている。
その間、水道の蛇口が故障したかのように、涙があふれて止まらない。
そして一旦諦めても、また自殺願望に駆られる。
結局、自分はどうしたいいのかわからない臆病者。
そんな臆病者でも、明日という残酷な一日がやってくる。
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