第21話 ③マグロ御殿に住む
エンゾーの家は燃えてしまった。何かひらめくものがあったのか、でっかい3階建ての大きな家を建ててしまった。
住み込みのメイドさんは、父の弟の娘、つまりいとこのかわいい子がやってきた。
なぜか、私ブリジッタの部屋も用意された。
家が建って、ひと月もすると、マグロ御殿と呼ばれているのを耳にした。そうなんです。屋根の上に、きんきら金のマグロのような魚が飛び跳ねているんです。
〇×△
3隻のエンゾー率いるマグロ漁船が港を出て少しすると、沖合に浮かんでいた船が追随してくる。さいきん、そこそこ沖合に出ても、追随してくる船が増えている。
われらの船が行く先にマグロがいるというのを聞きつけた輩のようだ。
10隻集まっても、回遊しているマグロは多いので、獲りすぎとかいう話は出るわけもない。予定海域に到着してブリジッタが群れらしき反応を発見したら、逆に、赤い旗を帆の先に上げるようにした。まるで、巨大なマグロ船団になったようだ。
もちろん、マグロを釣り上げた後、それぞれの船は自分の港に戻っていく。
〇×△
港でマグロを下ろし、漁協ギルドでセリにかけた後、解体部門で3枚におろした捨てられる背骨をもらって、孤児院に行く。
いつもの食事をする机の上に骨を置いて、みんなはスプーンを手に取る。お祈りをささげた後、スプーンで、背骨の間にある肉をこさげて、魚醤を少しつけて食べる。結構満腹になるもんだ。
一緒にもらった卵は30cmもあった。なかなか火が通らないので、1時間ほど煮てもらうように院長に言って帰った。
〇×△
マグロ御殿に戻る。3階建てで、1階の外壁はピンク色したマーブルを張っている。派手過ぎて恥ずかしい。内装は、ウオールナットの幅広の板を使った贅沢仕様。家具は猫足の高級品だ。歩くところは赤い段通がひいてある。
3階に私の部屋がある。シャワーがあびれるのがうれしい。
1階のロビーには、大きな船の模型が飾ってある。次に作る船だそうだ。帆が三つもある。
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