水晶に残された記録

白座黒石

水晶に残された記録

 ある日、道を歩いていると、小さく透明な塊を拾った。それは何か金属の装置が埋め込まれた、いくつか傷のある水晶だ。なぜかコードの差し込み口がある。私は水晶をカバンの中に入れた。


 その日の夜、私は水晶にコードを差し、イヤホンを耳につける。すぐにノイズ混じりの男の声が流れ出した。


『———5年後、とある町の商店を爆破する』


 それを聞いて、胸がざわついた。


(もしかして、私の町だろうか?)


『爆破した時の様子は、この水晶に記録する』


 直後、水晶から激しい爆発音と悲鳴が流れる。

 よかった、私の町ではなかったみたいだ。


 私は、ほっと胸を撫で下ろす。


 再び、ノイズと共に男の声が流れ出した。


『———5年後、とある町の工場を爆破する。爆破した時の様子は、この水晶に記録する』


 その声と同時に、窓の外で爆発音が響く。私は窓を開けた。

 熱気が押し寄せ、爆音が轟く。炎は瞬く間に燃え上がり、夜空を赤く染めている。


 私は呆然としながら、水晶を握りしめる。


 その時、また声が流れ出した。


『———5年後、とある町の商業施設を爆破する。爆破した時の様子は———』


 外で、何かが崩れる音がした。

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水晶に残された記録 白座黒石 @shirozakuroishi

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