いつか来る、この世との別れの時…何者かが死後の世界から迎えに来てくれるのだとしたら、本作のように優しくお迎えしてほしい…痛いのとか苦しいのとかは、いやぁん…!
作者には珍しい二人称小説である。最期の刻を今まさに迎えんとする、これは あなた の物語でもある。作中の あなた は、静かに死を受け入れその象徴である、死神の様な男に今、手を引かれて旅立たんとしている。様々な記憶が走馬灯の様に流れて行く。それでも あなた は死後の世界を安寧を齎すものとして、懐かしい思い出と共に想いを馳せる。 この、臨終の際に於いて あなた は、何か を見出そうとしている。Memento mori 死を、想え。 そして、今を 生きろ。