【感情の煮凝り】カクヨム短歌賞1首部門応募作品
紫冬湖
感情の煮凝り
陽だまりの境に足の指先がほんの少しだけ生きている春
排水口流れてゆくのは髪の毛とシャンプーの泡とあいつへの呪詛
よく晴れた5月のはじめ側溝を盛んに流るる水の音を聞く
サブスクにショパンと最新曲が並ぶ こんな世界 5分なんかじゃ
老いた母ひとりで暮らす家にまだ常備されてる生理用品
小説じゃないんだこれは本当に私も見てたその瞬間を
もう二度と会わない人らがひとりずつ千秋楽のように立ち去る
【感情の煮凝り】カクヨム短歌賞1首部門応募作品 紫冬湖 @touko3141
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