世界を超えた『約束』
彗
第1話
帰ってくると約束した母は帰ってこなかった。
そんな母と、もうギャンブルをしないと約束した父はギャンブルをした。
俺のこの人生で、まともに約束が守られたことなんてなかった。
ある日の夕方、世界が揺れた。
最初は地震だと思っていたが、突如「レベルアップしました」という声が聞こえてきた。
外を見ると、モンスターたちが蔓延っていた。
俺はこの現実と異世界が融合したかのような世界で、魔法使いとして戦った。
最初は一人だったが、数年合っていなかった幼馴染と会い、市役所を拠点に生きながらえていた多くの人々と合流した。
幼馴染とともにモンスターたちと戦った。
俺が見ている限り守ってあげられると思って、幼馴染と常に行動した。
そんな日々が半年も続いたころ、異世界から来たという老人が拠点にやってきた。
このままではこの世界は異世界と融合して消えてなくなるとその老人は言った。
唯一の方法として、異世界にわたって融合しようとしている組織を止めなければならなくなった。
しかし、行けるのはたった一人だけだった。
俺が行くといったが、幼馴染に止められた。
「私が行くから、君は待ってて。絶対帰ってくるから。約束だよ」
そう言って。
それからもう二年が過ぎた。
モンスターの侵攻は止まったが、彼女はまだ帰ってこなかった。
ああ、やっぱり約束なんて守られないのか。
そう思った。
それから何年も何年も過ぎ、俺もあの時あ会った老人と同じくらいしわくちゃになったころ。
「ごめんね、遅くなっちゃった。でも、ちゃんと帰ってきたよ。約束だからね」
そう言って空から舞い降りてきたのは、あの時と何も変わらない幼馴染の姿だった。
世界を超えた『約束』 彗 @suika_novel
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