第7話 忘れていたこと

本が持ち去られた後。

私は、悪あがきで本を探し続ける。


「ちょっとでも役に立つ本、ちょっとでも役に立つ本…」


探しているうち、ふと、紫の表紙の本が目に入った。


何かに惹かれて、手を伸ばす。


手に取った瞬間、光に包まれた。


また、あの歌が聞こえてくる。


「♪思いだして。目を覚まして。忘れてはいけないわ。」

「♪あの頃のこと。お願い。目を覚まして。」


繰り返される歌。

すると、その歌に混じって何かの声が聞こえてきた。


「……だろう。」


「!?何……?」


「お前は、俺の彼女だろう。」


「!?」


「……あっ!!」


そうだ。思い出した。


私、彼氏いるじゃん。


そして再度光に包まれた後、その声と本は消えていた。

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