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「ほい、これ。バスタオルと、あと頭拭く用の、バスタオルより少し小さめのタオルな。どっちも吸水性がいいんだ」

「ありがとう」

「使ったバスタオルは、洗濯機の横のカゴん中に入れてな」

「はい」

「この袋に制服入れて、ドアの前の廊下に置いておけよ。持ち帰るのを忘れないように、玄関とこ置いとく」

「うん」

「着替え、これな。サイズは問題ないよな。そう変わらないし」

「うん。あ、Tシャツかわいい! さすが!」

「そうか? なら、よかった」

「うん! 何から何までありがとう」

「じゃあ、ごゆっくり」

「はあい」


 約二十分後、風呂から上がって、頭をタオルでわしわししながらリビングに現れるなり、ひかりが叫んだ。

「って、私、当たり前みたいにお風呂借りたけど、すごく図々しくない!?」

「昔はよくうちで入ったじゃん」

「幼稚園とか小学校低学年のときね」

「一緒にな」

「君とは入ってないでしょ!? もうっ」

 ひかりは頭拭き用タオルを両腕で抱えて、ソファの僕の横に、どさりと座った。

「のんきに鼻唄うたいながらシャワー浴びちゃったよ」

「鼻唄……」

 ♪ しゃわわわわあああ~

 ♪ ふんふふ、ふんふふ

「あ、今、想像した! 私のシャワーシーン、想像したよね!?」

「い、いやっ、……悪い。した。ニルヴァーナ、鼻唄ってた」

 ♪ スメルズ・ライク・ティーン・スピリット

「そこはオザケンだよ!」

 ♪ 強い気持ち・強い愛

「ハダカは問題ないのか?」

 超小声で僕は言う。

「何、なんか言った!?」

「いえいえいえいえ」

 などと、二人で言い合っていたら、

「ただいまあ!」

 玄関の方から、僕の妹の声がした。

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