青いベンチ

神守彩枝

青いベンチ

ありふれた街のありふれた公園に佇むプラスチックのベンチ


ほんとうはどんな青色だっただろうペンキは何度も塗り直されて


ぽぽっぽ、と鳩近づけば老人はパンを投げやる機械のごとく


日が昇るとき日が暮れるときいつもひかりはここでひと休みする


先客がいないか一度たしかめて蟻はベンチをよじ登りゆく


日焼け止め丁寧に塗りたいひとの白きうなじをてのひらが這う


日陰にも時々はなる 生きているだけでいいって誰か言ってよ


脚元に忘れ去られたゴムボールただひたすらに前を見ている


待ち合わせ相手を見つけた少年を立ち上がらせるやわらかき風


今日の空と青いベンチに境目はなくて座ればわれも空なり

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青いベンチ 神守彩枝 @colorfultwigs

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