第46話 都会の都市ダンジョン④都会に染まったゴブリン
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現在、華鳥楓月の四人は都会の都市ダンジョンの9階層に来ていた。
ここまで休憩と魔力ポーションのおかげで、木造の街、煉瓦の街、石の街、コンクリートの街を攻略した。そして現在は鉄の街に突入していた。
ここからはモンスターがさらに一段強くなる。今までのように一筋縄ではいかなくなる。油断禁物、一瞬の気の緩みが命取りになる。
より一層気を引き締める必要がある。
「早速お出ましだ。スーツ、いやアーバンゴブリンがいる。……既に相手にはこっちに気づいているみたいだ。戦闘準備はOKか? モンスターは待ってくれないぞ。ほら【オールアップ】」
月城の一報により、華鳥楓月の面々に緊張が走る。
アーバンゴブリンは木造の街で出会ったスーツゴブリンに似ているが、アーバンゴブリンのほうがより都会に染まった姿をしている。
武器はスーツゴブリンと同じく万年筆だが、こちらのほうが高級品だ。防具はセカンドバッグにランクアップしている。スーツゴブリンを順当に強化したモンスターがアーバンゴブリンだ。
「まずは、ご挨拶【ダブルショット】」
神倉が矢を放つ。スキルの効果により、矢が二本に分裂し、両方ともアーバンゴブリンを襲う。
「浅いぞ。もっと力を込めろよ。牽制にもなってないぞ」
二本の矢はアーバンゴブリンに直撃したが、ダメージにはなっていない。そのため、月城から厳しい言葉が飛ぶ。
「問題ないよ。一瞬でも隙ができれば、それで十分だよねー」
「ぐぎゃっ!」
既にアーバンゴブリンとの距離を詰めていた止木が、一瞬気が逸れた瞬間を狙って剣を振る。
最初は拙かった連携も探検を重ねたことで精度が上がっている。無駄がそぎ落とされ、間違いが修正された。今は全盛期、いやそれ以上の連携力が発揮されている。
モンスターの発見からのバフスキル、先制攻撃に追撃。華鳥楓月の連携は完璧だった。
「ここで俺の追撃」
少し遅れて蘇鳥がアーバンゴブリンに追撃を入れる。止木が気を引いてくれているので、余裕で攻撃を入れられる。
アーバンゴブリンも反撃をしてくるが、盾でいなす。
蘇鳥が注意を引きつければ、止木が攻撃をする。反対に止木がアーバンゴブリンを攻撃を弾いている間は、蘇鳥が攻撃を加える。
その上、神倉の攻撃もある。順調にダメージを蓄積させていく。
「悠長にしてるから、新しいお客さんが来てるぞ、スマホゾンビだ」
スマホゾンビは歩きスマホをしているゾンビのモンスター。移動速度はランクの割には遅いが、その代わりに手に持ったスマホを使って多彩なスキルをいくつも放ってくる。しかも、どのスキルも一撃必殺の威力があり、攻撃を食らうと戦闘不能になることもある。
歩きスマホをして視界が狭まっているはずなのに、やたらと強いモンスターだ。
「合流するまで、まだ時間はある。邂逅する前にさくっとゴブリンを倒そう」
「わかったよ輪ちゃん。強力なスキルを使うから、ちょっとだけ前衛を任せるねー」
「しゃーない。しばし前衛は任されよ。……でも、早めに頼む」
蘇鳥は久しぶりのダンジョン探索で、実力に不安があった。しかし、都会の都市ダンジョンを攻略しているうちに、ある程度戦いの勘を取り戻している。
それに、強力な装備品も止木に用意してもらっている。少しの間の足止めくらいなら訳ない。
(近くに才能のある冒険者がいっぱいいた。たくさん冒険者の動きを見てきた。知識も増えた。今の実力は全盛期を超えている。少しくらいの足止めなら問題ない。でもーー)
長時間になると厳しいので、止木の準備が早く終わることを祈る。
「【ペネトレイトショット】」
蘇鳥を援護するため、神倉が遠くでスキルを使用する。矢の貫通力を大幅に上昇させるスキルにより、神倉が放った矢がアーバンゴブリンの体に深く突き刺さる。
「ぎゃぎゃぎゃ」
「スキル助かるー。おっと、よそ見はいけないぞ。【閃断】」
アーバンゴブリンが神倉がいる方向を睨みつけ、手に持つ万年筆を投げつける。しかし、その攻撃は神倉に届く前に月城が撃ち落す。
攻撃された怒りで短絡的な行動に出たアーバンゴブリン。その横には蘇鳥がいるというに。
【閃断】は強力な斬撃のスキル。アーバンゴブリンに大ダメージを与える。だが、まだアーバンゴブリンは元気だ。腐ってもモンスターランク5、頭が悪くても簡単には倒せない。
「準備できたからね。輪ちゃんは離れていいよ。パパっと倒しちゃうからね」
「おう、後は任せた」
蘇鳥は後ろに大きくジャンプをして、距離を取る。
「いっくよー、【獄哭破断】」
地獄の力を一本の剣に集約し、禍々しくも強力な一撃を放つスキル。
可視化された黒い斬撃が放たれ、アーバンゴブリンを真っ二つに裂く。その威力はアーバンゴブリンを仕留めただけでは衰えることはなく、後ろから近づいて来ていたスマホゾンビもまとめて葬り去る。
あわれ、スマホゾンビは一切の活躍することなく光の粒子となって消え去った。
9階層のモンスターといえど、華鳥楓月の前には障害にならない。四人いれば、都会の都市ダンジョンの探索も余裕だ。
「ふぅ、ちょっと疲れたね。少し休憩する?」
「そうだな、魔力ポーションはまだ余裕があるし、休憩して次に備えるか」
「どうやら、その休憩は後回しのようだぞ」
月城が警戒の声を上げる。そしてーー
「ボスが来るぞ」
と続け、空の向こうを指さすのだった。
「あれは……」
指さす方向を見るが、まだ距離は遠く、その仔細は判別つかない。
TIPS
アーバンゴブリン
都会に染まったゴブリン。
スーツを着ているように見えるゴブリン。皮膚の模様が変化しており、スーツを着用しているように見えるだけ。
見た目はただのオフィスワーカー。しかし、見た目に油断していると痛い目を見る。
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