女の子ながら、なんとか冒険者として食い繋いでいる主人公ミーシャは森の中で魔物に襲われている可愛らしい魔法使いのエリサに出会う。
2人は力を合わせて、女の子同士の冒険者コンビとして広い世界に挑んでいく。でも、エリサにはある秘密が隠されていて……
本格的な異世界ファンタジーものの冒険譚です。魔法が決して万能ではなく、上手く冒険者らの生活に息づいている。
そして、ミーシャとエリサの絡みが可愛らしいです。百合なのに、性的な嫌らしさは決して感じさせず、ただ2人の仲の良さと可愛らしさに溢れている。
ミーシャの冒険者っぽい乱雑さも可愛いし、エリサの箱入り娘感のある女の子らしさも可愛らしい。
2人が絡み合うともっと可愛い。可愛いと冒険の二つが合わさって、カッコ可愛い。
魔法体系、戦闘描写、読者を飽きさせない工夫、どれも異世界ファンタジー小説のお手本のような作品でした。異世界ファンタジー小説を書きたい、あるいは書いてるって人は一度目を通して損はありません。
至高の【百合物語】にして、最高の【冒険活劇】。
想像してください。
「おっ、ファンタジーの百合モノかぁ。テンション上がるなぁ」
と気楽に開いたら本格冒険譚が心を鷲掴みに来て、
「こ、これは……!百合は誘いで冒険譚が本命……!?」
と動揺する頭を至高の百合描写で刈り取られる様を。
緻密な情景描写、手に汗握るような臨場感あふれる戦闘シーン、気になったところで挟まる世界観説明の痒いところに手が届くような読者へのホスピタリティ。
あっ、これまだ魅力の一部です。続けます。
メインからサブ、果ては敵の魔物に至るまで本当にそれぞれ人生を歩んできたかのような"生きた"描写と軽妙な会話劇、そしてバックボーンや肩書きに裏打ちされた力量のバランス。
"本物の百合冒険譚"を読みたい同志達よ、この名作を見逃すなかれ。
<第1話「森の中の不思議な女の子」を読んでのレビューです>
舞台は霊峰のふもと、深い森。爆発音から始まる導入は、視覚と聴覚を同時に刺激し、読者をすぐに物語へと連れ込む。主人公ミーシャの外見や装備は細かく描写され、冒険者という像が鮮明に立ち上がる。静けさの中に鳥の羽音や風のざわめきが混じり、そこに魔物の鳴き声が割り込んでくる展開は、緊張感を巧みに積み上げている。
「走る、というより跳ぶ、の方が近いかもしれない。岩を足場に跳躍し、木の幹をステップにしてぴょんぴょんと駆ける。」
動作が単なる説明で終わらず、比喩とリズムによって映像的な広がりを持ち、主人公の身体能力や冒険者としての軽やかさが心地よい。
描写の厚みと場面転換の速さがうまく噛み合い、視覚的でありながら軽快に読ませる。魔法と剣技の対比も、物語の世界観を端的に表している。登場人物の動きや言葉の端々に自然な魅力があり、続きを追いたくなる流れがそこに用意されている。