キボシアシナガバチの巣
散歩中に見つけた、キボシアシナガバチの巣。
地面に木の枝ごと落ちていたが、遠目からでも蛍光っぽい黄色が目立っていた。とても美しい巣だ。強風か、それとも数日前の大雨の影響で枝が折れてしまったのかな?
しゃがみ込んで巣の部屋を1個ずつ覗いてみると、幼虫やサナギはいないようで安心した。巣の構造を見てみると、全部が黄色かと思ったら、サナギ部屋の蓋が鮮やかな黄色で、土台の部分は茶色で作られている。
調べてみると、キボシアシナガバチの巣は、枯れた木や枯れた葉といった植物の繊維を材料にして作られる。ハチはこれらを噛み砕き、唾液と混ぜ合わせることでパルプ状にして巣の材料にしているとの事だが、なぜ茶色の土台と、サナギの蓋の黄色、2種類の色に分かれているのだろうか?
私の勝手な想像ですが、土台は丈夫な素材、蓋は開けやすいように薄くて柔らかい素材なので、枯れ木が土台で黄色い蓋は……枯れ葉かな?でもどうやったら美しい黄色になるんだろう。
黄色で思い出したのは、以前趣味でやっていた草木染めだ。
草木染めは、草木を煮だして作った染液で布や糸などを染める。綿や麻など植物繊維の布を染めるときは、まず布にタンパク質を染み込ませる下処理をして、タンパク質と草木の染液が反応して色が染まる。
そして草木染めで外せない作業工程に「媒染(ばいせん)」というものがある。媒染とは色止めをする作業だ。
媒染には、鉄や銅、アルミなどを使った媒染剤が使われる。
媒染剤に浸すことで、媒染剤と草木の色素が化学反応を起こして色止めの効果を発揮する。色落ちが抑えられるだけではなく、発色が美しくなり、同じ草木の染液でも、媒染液の金属の種類によって発色が変わる。
一般的に草木染めで黄色を出すには、アルミ(ミョウバン)媒染をする。もしかしてキボシアシナガバチの唾液の中には、黄色に発色させる成分が含まれているのかもしれない。
昆虫が色を作り出す。なんだかとても素敵でワクワクする。
さらに黄色の色について調べてみると、興味深い記事を見つけた。夏の日焼け対策で、紫外線を通しにくい色は、ネイビーやダークグレーなどの濃い色はもちろん、青や緑、黄色なども紫外線を通しにくいと言われているが、最も紫外線を通しにくい黒は、太陽の光を吸収しやすく、なんといっても暑く感じてしまいがち…。日焼け防止ももちろん、暑い夏は暑さ対策も必須となりますが、そこでオススメしたいのが黄色。
日焼け防止効果も期待できる黄色は、原色のなかで最も光を反射する色なのです。
え!?黄色が一番光を反射するとは驚いた。サナギ室の蓋の色が
黄色なのは……光を中に入れないためなのか?
自然界の生き物の行動や生態すべてに必ず意味があるとキボシアシナガバチの巣のおかげで考えることができた。
小さな気づきを与えてくれた自然に感謝。
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