虫の知らせ

星空 花菜女

個体数だけではないかも

 最近気になることがあった。

それは、朝の散歩で見つけた小さな蝶。

ヒメジョオンの花の上でまだ寝ていたヤマトシジミ。「かわいいな」と思いカメラのレンズを向けた。

夜からここでじっとしていた証に、翅の外側に2滴、朝露の雫がついてる。昆虫の身体についた水滴の写真を撮影するのが私の夏の楽しみのひとつだ。



 だが、何かいつもと違う。何となく違和感……。

花の上の蝶をよくよく見て考えた。

わかった。明らかに今まで出会ったヤマトシジミより身体が小さいからだ。何mmか計測はしていないが単純に一回り小さい。


 図鑑では前翅長:9~16mmと記載あり。

推測ですが私が見たヤマトシジは6~7mmだった。でも自然界では多少の個体差があってもおかしくないかなとその時は思ったが、翌日また小さい昆虫に出会った。


 それは道端を吞気に歩いていたクワガタ。ここにいるとカラスにねらわれたり、人や車のタイヤに踏まれたりと危ないので、樹液がでている木のそばまで連れていく。家の周りにはまだ自然が残っていて、クヌギ・コナラなどの朽木がある雑木林もあるので夏になるとカブトムシ、ノコギリクワガタ、コクワガタ、ミヤマクワガタなどはよくみかける。

 たぶんコクワガタのオスのようだが、びっくりするくらい小さい。コクワの成虫の体長はオスで17.8 - 54.4 mm、メスで21.6 - 29.9 mm(いずれも2015年時点)。見つけたクワガタは

角の形状から推測してオス。しかしとても短くて小さい。そのため余計に体長が短い。12~3mmくらいの大きさ。

 後日、改めて撮影した写真を図鑑と照らし合わせてみると体に細い縦線が入っていたのでネブトクワガタかもしれない。体長も12~33mmなので当てはまる。こんなに小さいクワガタがいるんだと初めて知った。


 ただ今回、小さいヤマトシジミとクワガタを見つけて思ったことは、昆虫が食べる餌が少なくなってしまったから?それとも何か別の原因があるのか?気になった。


 家の周り数キロ圏内には、数年前に太陽光パネルが設置されたり、土地も少しずつ伐採もされ、年々木の数が減っている。

確実に昆虫が住んでいた環境は変わってきた。

人にとっては些細な広さかもしれないけど……

 

 個体数の増減はわかりやすいが、その前に昆虫たちは、餌が少くなった環境で必死に適応して生きる(種族保存本能)ために、自ら体を小さくさせているのではないかと思った。

 

 毎日の散歩で、様々な野鳥や昆虫、四季折々の自然の草花をみつけては「かわいい」、「美しい」、「珍しい」などと正直ただの自然の被写体として長年カメラのレンズを向けてきたけど、今回出会ったシジミチョウとクワガタは、わたしに何かを訴えている気がした。

本物の虫の知らせ……


これからはもう少し、別の視点から自然で暮らす生き物や草花に目を向けて、小さな変化に気づいて、できることあったらしてあげたいと思った。

 しかしわたしは自然環境や昆虫の専門家ではないので知識がない。原因を見つけたり、何かすることは今すぐは難しいかもしれない。でも日々の散歩で感じた出来事を書き留めて、発信はできる。

とても小さな力だけど続けてみようと思う。

       

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