<第1話を読んでのレビューです>
物語は、東京がある日突然巨大な塔に“組み込まれた”という異常な状況の中で、天城光葉という少女の日常を描く。塔の出現という非日常を背景にしながらも、描かれるのは通学路や友人とのやり取り、探索ノートの習慣など、ささやかで静かな日常だ。都市が異変に飲み込まれても、生活の営みは淡々と続く――その描写の絶妙な距離感が、読者を不思議な世界に自然に引き込む。
個人的に印象的だったのは、塔の外壁が遮熱して真夏でも日陰がクーラーのようになるという描写だ。非日常の中のささいな便利さをさらりと描き込むことで、異常な世界を身近に感じさせ、光葉の生活感と塔の奇妙さが同時に伝わる点が秀逸だと感じた。
読む際には、塔という巨大な異物がもたらす都市の変化や日常との距離感に注意して楽しむと面白い。非日常に巻き込まれた人々の小さな営みや気づきを味わいながら、物語が描く静かで異質な東京の空気を堪能するのがおすすめだ。