「婚約者を妹に奪われ、辺境の訳アリ貴族に嫁ぐことになったお姫様の物語」。
こう書くと、なんだかテンプレ溺愛ざまぁもののように感じる。
もし、あなたがテンプレ作品に飽きてきた読み専さんならば、ちょっと読んでみてほしい。
この人が紡ぐお話は、ちょっと違うんだなあ。
籠の鳥のように生きてきたお姫様が、外の世界に触れ、自分の生きる理由を見つけ出す。
この物語はそんな「一人の女性がどう自分らしく生きていくか」を描いている。
それはけして楽な生き方ではないと思う。
自分のことをあきらめて、周りに流された方が楽に生きていけると思う。
それでも、主人公—―カリナは、自分の生き方を自分で決めた。
このお話は、シンデレラストーリーになるかどうかはわからないけど、自分で生き方を決めた女性と、不器用ながらに優しさを秘めた人々の交流劇だ。
だからぜひ、女性に読んでもらいたい。
共感できるところ、いや私は違うと思うところ、いろいろあると思う。
そんな作品とのキャッチボールが、あなただけの物語を生み出してくれるだろう。
読むんだったら、スキマ時間じゃなくて、ちょっと落ち着いた時間がいい。
例えば、午後のひと時。あるいは、寝る前の静かな時間。
香りのいいお茶か、やさしめのアルコールを片手に、どうぞ。