Lost Life

東井タカヒロ

Welcome to this damn world(ようこそ、このくそったれな世界へ)

 血と火薬の匂い。俺がいつもいる場所では屍があった。

 客はいつも俺に対して口を揃えてこう言うんだ。

「いやぁ、君は実にいい仕事したよ」

「そりゃどうも」

「その無愛想な姿も実に素敵だ」

 何が素敵だ。反吐が出る。

「目の前に殺したい人がいたら殺しますよ。じゃ」

「もう行ってしまうのかね」

「ええ、僕はマフィアの飼い犬ですから」

 そう、僕はマフィアのヒットマンに過ぎない。

「はぁ、今日はいつも以上に気分が悪いぜ」

 

 マフィアのアジトに戻り、ボスに報告する。

「良い――」

「それはもう聞いたんで、次はあんたを殺せばいいのか?」

「いや、お前さんには教育係をしてもらう」

「はっ、ここにきて子供のお守りをしなきゃならないのか」

「ハイナーという奴でな、教育してくれんか。lostLife命知らず。」

 教育だと!?ふざけるなよジジイ。俺は殺すこと以外にはなんも出来ないんだぞ。

「分かりましたよ。それが命令であるならね」

「場所はウエスト12-Hだ。」

「へいへい」

 そうして湿ったれなあの空間を後にした。


 俺が教育係か。へっ、ボスも何を考えてやがる。ついに老いぼれたか?

「――なんだこいつ」

「今日からあなたの配属となりました!トーマスです。お会いできて光栄ですMr.lostLife」

 どこにでもいるゴミじゃねぇか。なんでこいつの教育係なんだ。

 まさかあのクソジジイ……俺に道徳の授業でもさせようってじゃねぇんだろうな。

「おいトーマス、お前入って何日目だ。」

「まだ初日です。」

「……悪いことは言わねぇ、今すぐ逃げな。まだ誰もお前のことなんか殺しやしねぇよ」

「いえ、Mr.lostLife。あなたに付いていきます」

「なんでそこまでして俺にこだわる」

「あなたは僕の憧れで、僕はあなたの恩人になるからですよ」

 何言ってんだこいつ。薬でもやってるのか?

「まぁいい、そこまで言うなら歓迎しようじゃねぇか。」


「Welcome to this damn world(ようこそ、このくそったれな世界へ)」 

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Lost Life 東井タカヒロ @touitakahiro

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