第2話 王国の上層部にはバカしかいねえ!
僕の名は【アルベルト】。
一応、姓もあるけど、実家からは勘当されているので今はどうでもいいだろ。
僕の容姿は人に言わせると並だとか。
いや、この王国でもかなり珍しい『双緑』と呼ばれる翠緑の髪と瞳とか、見ようによってはイケてそうな顔の造りとか、決して並ではないハズ。
…………そう思いたい。
「じゃあ、彼女のひとりでもいるのかよ?」
悪友はそう言って嘲笑う。
容姿の評価は、彼女の有り無しではないとは思うんだけど、気の弱い僕はあまり強く反論できなかったりする。
そんな僕は、この【ゼーンズフト王国】における【第13輜重隊】の隊長を努めている。
『
それは、戦闘地帯へ後方から必要な物資を配置するといった
要は、前線で戦う者たちへ糧食や武器防具を運ぶ役目を担う輸送隊のことなのだが、直接は戦闘には関わらないため、口さがない連中からは、『スカートの陰に隠れた腰抜け』『コソコソ動く虫けら』等と呼ばれている。
この国は、肥沃な大地と恵まれた鉱山資源を有する大国ではあるものの、その豊かな領土を四方を取り囲む他の国々から虎視眈々と狙われている。
それゆえに、国境付近の小競り合いは日常茶飯事。
常に国のどこかで戦が起きているという現状であるため、人々から称賛されるのは国を守る軍人たち―――それも、前線で戦う者たちへの評価が高い。
一方で、戦いには直接関与せず、後方支援といった役を担う者たちへの周囲の目は厳しい。
スカートの陰云々や、虫けらといった別称は、そんな風潮から生まれたものらしい。
確かに、直接敵とは戦わないかも知れないけどさ、輜重隊も十分危険な仕事だよ。
わざわざ危険なルートを通らなかったとしても、敵の補給線を絶つのは常套手段なのだから、優先的に狙われるのは間違いないわけだし。
そもそもこの国の者たちは、補給の大切さをよく分かっていないのが問題だ。
どんな名将や英雄だって、食べなければ戦えないのだ。
「王国の上層部にはバカしかいねえ!戦場には風ってものがあるんだ。あるべき時に物資が無ければ、士気だって上がらねえのを知らねえのか!」
常に前線で戦い続ける悪友は、よくそんなことを言っている。
聞けば、つい先般の国境での戦いでは、全てが終わった後にのこのこと補給部隊がやって来たのだとか。
おかげで、前線の兵士たちは補給が途切れることを恐れて、かなり強引な戦法を取らざるを得なかったという。
かなりの犠牲者が出てしまったにも関わらず、その輜重隊の隊長は、悪びれもせずに『結果的にこうして届いたのだから良いだろう』とのたまわったらしい。
そりゃあ、こんな連中がのさばっているから、後方支援が軽んじられるんだよ。
そして、そんな戯れ言を許してしまう風潮。
ホント、王国の上層部にはバカしかいねえ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます