第5話

正直、昔からそういうことが多いカップルではなかったと思う。


和政は私のことをすごくよく考えてくれているし、私も二人でいるだけで幸せを感じるから。

だけど、それにしてもって、最近は思う。


会える回数がどんどん減ってるから尚更不安になる。



「結奈とカクちゃんも、もう付き合って4年以上だよね?

そういうことの頻度って、昔に比べて減ってる?」


「え?!いや、……」



誤魔化そうとしてから、多分私が真面目に相談してるのを受けて、結奈も覚悟を決めたみたく、二杯目のレモンサワーを半分一気に飲んだ。



「はっきり言って私たちは減ってない。

もちろん毎日ではないよ、カクも私も忙しいタイミングとかあるし。でも、週1回は必ずある」


「……やっぱり、そうだよね……」



結奈は少し落ち込んだ私の肩を優しくさすってくれた。



「……結奈はスタイルもいいもんね」


「いや、大澤は多分そういうことではない気がするけどね。

もっと単純なところに理由がある気がするけど……。

最近の大澤を知らなすぎて、何も言えなくてごめん」



そして結奈はおもむろに、スマホで検索を始めた。

二人で色々調べてるとみるみるお酒がなくなって、三杯目を頼んでしまう。



「……なんか、こういうのに載ってるのはどれもすごい過激なアイテムが多いね」


「ほ、ほんとだね……。

正直これを提案した時点で今の和政にはドン引きされそうで怖い、かも……」


「詩織がどんなことしても、ドン引きはしないと思うよ、大澤は。

むしろ心配しすぎて、それどころじゃない空気になりそう」



サイトを閉じて、はあ、とため息をつく私を結奈は心配そうに見つめた。


そしてスマホをカバンにしまう。



「ちなみに、なにか詩織の方で試したことはあるの?積極的になってみるとか、さっき調べたようなアイテムを使ってみるとか」


「アイテムは使ったことない……。

でも、この間一緒にご飯食べた時に、ちょっと勇気出して誘ってはみたよ。


でも、酔っぱらったと思われたみたいで、あしらわれたというか、心配されて終わっちゃった……」



学生の頃はお酒に酔った私が可愛いから、外で男性と飲まないようにってよく注意された。

実際、男の人がいるような飲み会に和政がいないときに参加することってほとんどないけど、要するに昔は私が酔ってる姿に少なからず興奮してくれてたってことだよね。


もう今はそういうのにも慣れてしまったんだろうか。



「せっかく旅行行くんだし、どこかのタイミングでちゃんと話せるといいね。

なんか、あまり役に立てなくてごめん……」


「むしろ話聞いてもらえただけで救われた。

ありがとね、結奈。後期も実習応援してる」



実際、結奈に話したら色々決心もついた。


旅行のどこかのタイミングで、もしもそうならなかったら、和政に相談してみよう。

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