価値ってのは内容で決まる18
烏山は考える。
(この男、ふざけて見えて手慣れている。あの一撃は明らかに和也を捉えていた)
黒ヤギは少し考える。
「もしかしてリーダー格の金髪さんよー、考えるの苦手」
烏山は思考が固まる。
ただ、黒ヤギからして見れば、この3人の中で驚いてるのが金ミツ以外だったが故の結論だった。
「てことはそっちの子はこの三段構えの穴を知っていたってことか」
「っ!」
「本当なのか三谷」
三人に動揺が走る。
それに対して逆に焦っていたのは黒ヤギだった。
(えぇ、揺さぶりの中でもちょっとしたものなのにもう不信状態?)
呆れていた。
「そもそもこの三段構えは穴だらけっていつも言いましたよね?」
「軍でも採用されてる構えだぞ!」
「チッ腹ん中で俺たちを馬鹿にしてたのかよ!」
2人が金ミツを責めている。
(にしても冷静かつ、技術的だな)
金ミツに対して黒ヤギはそう評価していた。
(火力はないけど汎用性の優れた金ミツ、汎用性を捨てて雷槌と呼ばれるまでに火力を求めざる得なかった三谷ねぇ)
黒ヤギはなんか結構、対比としては正統派なのが多いなぁと考える。
「まぁ、波乱がなかった末の俺たちだから正統進化するのも当然か…にしても」
こいつはいつまで喧嘩してるの。
そんな言葉を溢すのだった。
一方黒野と銀ヤギは理解できなかった。
「なんであんなに喧嘩してるんだ?」
「そもそも黒ヤギはなんて言ったんだ?」
2人は三谷とブラックを見る。
「「そんなこと聞かれてもなぁ」」
本音が漏れる。
2人はなんて言ったか知らない。
しかし、何故こうなったかはわかる。
「今回の対戦相手の特徴を聞いて俺が言ったこと覚えるか?」
黒野と銀ヤギが顔を見合わせて。
「「それって本当に強いのか?」」
「そういうことだ」
2人は余計に困惑する。
それに対して三谷が補足する。
「要するに、あれは信頼できるからチームになったんじゃなくて強いからお互いに組んだだけってこと。合理的なチーム」
「それの何が弱いんだ強い人間が組めば鬼に金棒だろ?」
黒野の純粋な疑問に対してブラックが呆れている。
「そもそもだ、そんなチームが戦略戦術を組めると思うか?」
「え?組めないのか?」
「プロならできる。でもあいつら学生だ。要するに何をするにしても信用がないから背中を預けられない」
ブラックの言葉は中々2人に伝わらずにいる。
「んー要するに?」
「もうちょい噛み砕いて」
三谷は補足する。
「要するにお互いに配慮もコミュニケーションも取らないものを連携と呼べる?」
「あっ」
黒野は気づく。
自身は集団戦をより深く学んでるからこそ気づく。
「そうか、だから三段構えをしてるのか。それしかできない、決まった形以上をしようとすれば崩れるから」
そう、タイミングや感覚テンポ様々なものがズレているのだ。
「だから強いだけじゃダメなのか」
黒野の最後の一言になんとなく銀ヤギも納得する。
「でも普通に考えたらそんなこと最初に考えるのに」
三谷の一言…それにブラックは答える。
「実力主義の弊害だろ」
「なるほど」
2人は勝手に納得してるが黒野と銀ヤギは再び置いていかれるのだった。
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