価値ってのは内容で決まる17

「試合開始!」


次の瞬間動いたのは和也だった。


そして、金ミツは中衛に、烏山が後衛に映る。


「三段構えね。それ一対一と何が違うんだ?」


ふとした疑問とともに黒ヤギが上げた足が和也の鳩尾にあたる。


飛んでくる雷撃を軽く避けながら3人を見る。


和也は蹲っており、後ろの2人の攻撃は完全に避けられている。


「なぁ、3人相手ならもう少し上手くいけるだろ?これじゃぁ実力見せるまでいけないぞ」


煽る。



だが、3人は簡単には乗れない。


ここで初めて気づくのだ。


相手が一対一における純戦闘において自分達より強い相手だと。



観客席では黒野と銀ヤギが困惑していた。


「え?え?え?なにそれ?一瞬で無力化?」

「待て待て強いのはわかってたけどここまで圧倒できるのか?」


2人の疑問に対して。


「戦闘経験だけならあの3人の方が高いかもな」

「まぁ、でも修羅場の経験はアイツの方が上だからね」


答える。

だが、それでも納得がいかない。


「でもあそこまで完璧に避けれるなんて」


黒野の疑問はもっともだが2人の視点は違った。


「「あんな布陣なら誰でもできる」」


嘆息を吐いていた。


「そもそもの話がな、あの三段構え…集団戦の中でも6人以上でやる構えだ。それを個人の実力を過信して行ってる。まずそれが間違いだ」


ブラックはそう指摘する。


「あんな組み方じゃ一対一をしてるのと同じよ、だって目の前にいるのは1人、情報量が少ない上に1人目が少し余計な動きをすれば後ろの攻撃になるのがわかる。その時点で前衛対アイツ、中衛対アイツ、後衛対アイツでしかないのよ」


連携ではないと2人は言ってのける。


「この作戦がうまく行くのは前衛の実力が高くないと無理、そもそも戦略や戦術なんて口が裂けても言えないわね」


三谷の締めに2人は息を呑む。

そう、考えてみれば当然だ。


彼らはそれらを踏まえた上の世界で生きている。


「敵わないな」


黒野はそう苦笑いする。

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