エピローグ 存在しない果実


数十年後。


とある現代アート展に、一つの奇妙な作品が展示された。


透明なアクリルケースの中に、何も入っていないように見える。


タイトルには、こう記されていた。


『二十世紀梨』


解説文にはこうある。


> 「これは果実ではありません。

あなたが何を感じたか――それが、この果実の味です。」




人々は戸惑い、笑い、写真を撮り、黙り込んだ。


マグリットの青リンゴは、今もなお、誰かの手の中にあるのかもしれない。

その姿がリンゴか梨か、誰にもわからない。

だが確かなのは――

それが「物語」であるということだ。



---


🕊️完

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二十世紀梨 大元勇人 @Yuuto07180

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