第5話

徳間は授業に参加しない。

その場にいるだけである。

体育も参加しない。

理由は参加したくないからである。

運動が苦手で嫌いな訳では無い。

理由はそれではない。

徳間には友人が居ない。

だから、体育などのペアワークの必要とする授業への参加は困難を極める。

ペアを作れない徳間は三人組のグループがあったとしても断られる。

周りを見渡すと『こっちには来て欲しくない…』と言った、雰囲気が身に刺さってくる。

徳間はそういったことを経験しているから他者に話しかけたり、他者と協力し合ったりする何かがとても苦手なのである。

体育の授業に参加しない代わりに、徳間はレポートの提出を約束させられた。

スポーツに関すること、保健に関することなど内容はなんでも良いが、週の最後の授業までの提出を約束した。


「せんせーい。徳間さんだけずるーい。何であいつは参加しなくていいのー?」

「徳間はいいんだよ。レポートを書いているから。」

「え、レポート書けば免除されるの?」

「まぁ、お前に毎週十ページ以上のレポートが書けるならな。」


陽キャは考えた。

十ページ以上のレポートかと。

できる気はするが、面倒臭い。

と言うか普通の勉強に使う大学ノートならできる気がするけど、A4の白紙にぎっしりかけと言われたらできる気がしない。


「なら、体育やった方がマシだけど」


と小さな声で、ボソボソと言った。


流石の徳間も体育の見学で、机を必要とするような大掛かりな勉強をすることは出来ないので、いつも朝読書の続きをここではやっている。

基本的には勉強と変わらないので先生は何も言わないが、手伝って欲しい時(五十メートル走の計測・記録など)は徳間を助手として使う。


「徳間ーーー。」


今の種目はバスケットボールである。

なので先生が審判で、得点係を徳間に任せていた。

種目が始まるまでの間は読書をできるが、種目が始まってしまうとそれはできなかった。

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