第30話 秘密のお茶会



 招待状通りの席に座って、お行儀よく椅子に座る。


 椅子は座り心地がよく、目の前に広がるお菓子や装飾の親和性に安心。


 招待状をくれたのは誰だったのか分からない。


 私はお茶会の人気者。


 そこにジャケットを羽織った黒いウサギがやって来て、ななめ向かい側に座る。


 視線があって、お互い会釈。


 そわそわしているウサギはジャケットから銃を取り出している。


「ねぇ、それ、まさか本物ではなくて?」


 うさぎが答える。


「そうなんです。僕、今日、向かい側に座るひとを暗殺せねばならんのです」


「まぁ。それはまたどうして?」


「仕事です。そう言えって」


「どういう意味かしら?」


「巻き込まれたんです。妻と子供が人質。聞くにターゲットは嫌われ者」


「なるほど・・・私の隣に座るわけね・・・」


「言っておきますが、僕はキリングドールではありませんからね」


「違うの?」


「僕はキリングドールでは、ないんです」


「分かったわ」


「はぁ・・・強めに言ってすいません、お話できたら少し安心した」


 バニーガールがやって来て、「いかがですか?」とお茶を注いでくれた。


 黒いウサギがお茶を飲んでいる途中でお茶を吹き出す。


 私の隣、つまり黒うさぎさんの向かいに、黒コーデの美青年が座った。


「こ、こ、このひと・・・指令書の確認。『斜め・・・向かいの美少女』?」


 銃声が響いて、私の眉間に銃弾が撃ち込まれた。


「えーっと、このひとでいいんですよね?」と、黒うさぎが言ったのが聞こえた。


 バニーガールが、ええ当たっています、と返したあたりで私の意識は途絶えたのだった。

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