第29話 無限レモン



 とある夜会へと友人のつてで誘われた。


 なんでも『魔法学校』出身の者たちが主催するマジカルな宴らしい。


 わたしは魔法学校出身であるから、なにか演目を、と頼まれた。


 『無限レモン』と言う技を披露。


 会場がどよめいたし、沸いた。


 予想以上の高評価に、立食式の会場に機嫌よく戻る。


 次の披露者は指を鳴らすと空中に水玉を浮かせた。


 仰天している私に、美女が近づいて来て私に話しかけてきた。


「あのレモン、どうやって増やしているの?」


「種も仕掛けもありません」


「なんですって!?魔力の発動を感じなかったけど、どういう意味っ?」


「ま、魔力・・・?」


「あなたどこの魔法学校出身なの?」


「ひ、秘密魔法学校です」


「それってどこ?」


「日本」


「あの謎の国・・・」



 次の披露は、ベリーダンスを踊る女が炎の尾を掌から出現させている。



「あの~・・・君、も、魔法学校出身なの?」


「ええ、そうよ」


「マジカルな感じの?」


「ん?意味が分からないわ」


「えーと・・・うん、なるほど~・・・ちょとトイレ行って来ます」



 こうして僕は友人に確認を取り、その上で会場を一緒に出た。


 僕の通っていた魔法学校で習うのは、魔力とか関係ない、手品、だ。

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